2026.10.02
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錦繍のなか車を走らせ黄金の平泉へ
- 東北
- 絶景
- ドライブ
武士の時代のはじまり。凄惨を極めた骨肉の争い
平安時代末期。世は乱れ、土地の所有や跡目争いを理由に各地で戦乱が起きた。法や朝廷の権威といった、いわば話し合いをベースに解決するのではなく武力でカタをつけようという時代だ。
奇しくも世は末法。釈迦が亡くなってから仏教の正しい教えと修行が為される時代と、それらが形骸化してしまう時期とを経て人々が修行や悟りを求めなくなる荒廃期とされ、日本では永承7年(1052)から突入すると考えられていた。実際に930年代には承平・天慶の乱などがあり、人々も朝廷も末法近しの予感を強くした。
その矢先、まさに末法前夜の1051年。平泉で前九年の役が起こる。奥州藤原氏3代の初代である清衡の父はこの役で敗れ、鋸引きという残酷な死刑となる。
死者も生者も、人、動物、植物までもを救う浄土を具現化
清衡はその後、母の再婚により敵方であった清原氏で育つ。長じてからも東北全土とも言える広大で豊かな土地を掌握するための家督争いが勃発して異母兄弟に妻子をみな惨殺されてしまう。清衡自身、大勢の兵や領民、兄弟を殺した。
この凄惨な半生を経て建立されたのが中尊寺。清衡の子、基衡が建てた毛越寺とともに極楽浄土を現した壮大な寺だ。清衡は、1126年の落慶法要で読み上げられた『中尊寺建立供養願文』のなかで敵も味方も、善人も悪人も共に弔い、獣や鳥や魚や虫までもが極楽浄土に行けるよう、平和に暮らせるようにと願っている。
藤原3代や源義経も歩いた絶景の渓谷からドライブに出発
藤原3代や源義経も愛でたと言われる猊鼻渓だが、江戸時代は徹底的に隠されていた。理由はこの絶景。美しさが藩や幕府に知られると役人らが視察名目で遊山にやってくる。滞在や接待は地元の村人持ちだ。 また、奥州藤原氏に莫大な富をもたらした砂金や砂鉄も藩や幕府にその存在が知られてはならない。川の所有権が奪われ、過酷な採金作業に駆り出されてしまう。実際、近くで重税、重労働に耐えかねた人々による金山一揆が起きている。 だから発見されたのは明治になってから。元仙台藩士の佐藤洞潭による。父の意思を継いだ漢学者、佐藤猊巌は私財を投げ打ち川の岩を削って舟が通れるルートを拓いた。大正には国の名勝にも指定されている。
猊鼻渓
- 電話番号
- 0191-47-2341(げいび観光センター)
- 住所
- 岩手県一関市東山町長坂
- 参拝時間
- 8:30〜16:00(季節により異なる)
- 休業日
- 荒天時
- 料金
- 舟下り1800円
- 駐車場
- 200台
『旅コンテンツ 完全コレクション 息をのむ 絶景ドライブ 東日本』P.56
奥州藤原氏を滅ぼした源頼朝も絶賛。現世に浄土を移した庭
開山は嘉祥3年(850)に遡る。慈覚大師によって開かれた小さな霊場だったが12世紀中頃、奥州藤原氏の2代、基衡が圧倒的な財を注ぎ込み、大伽藍へと発展させた。
その見事さには奥州藤原氏を滅ぼした源頼朝も圧倒され、鎌倉幕府の公式文書である『吾妻鏡』で「寺塔四十余宇、禅坊五百余宇なり。 霊場荘厳、吾朝無双なり。金堂円隆寺は、基衡これを建立す。」と大絶賛。吾朝無双、つまり日本一だと記述した。
頼朝が目にした建物や塔は度重なる火事で消失してしまい建造物はあえて礎石のみを残しているが、庭は平安期のままの姿を伝えている。秋のはじめは萩、晩秋にかけては紅葉が素晴らしく、2026年は10月20日まで萩まつりが開かれている。

毛越寺
- 電話番号
- 0191-46-2331
- 住所
- 岩手県平泉町平泉大沢58
- 参拝時間
- 8:30〜17:00(11月5日〜3月4日は〜16:30)
- 休業日
- 無休
- 拝観料
- 700円
- 駐車場
- 300台
『旅コンテンツ 完全コレクション 息をのむ 絶景ドライブ 東日本』P.58
平泉ドライブのゴールは紅葉の中で輝く中尊寺
猊鼻渓を流れる砂鉄川で採れる豊かな金や、川のミネラルを含んだ草を食んで育った大きくて足の速い馬、大陸や北方の人々との貿易によって得られる莫大な富を惜しみなく注ぎ込み建立された中尊寺。
初代、清衡の殺生への深い悔恨と平和への切なる願いが込められた浄土の具現化だ。『中尊寺建立供養願文』では、中尊寺の鐘の音が鳴り響く全宇宙の苦しみを取り除き安楽を与えるとの一節がある。奥州藤原3代の原点であり、目標でもある。
10月20日〜11月15日には菊花会や地元の児童が丹精込めて育てた菊の花が見られる菊まつり、11月1日から3日までの藤原秋まつりが開催される。紅葉に染まった境内を平安装束に身を包んだ稚児の行列が愛らしい。
中尊寺
- 電話番号
- 0191-46-2211
- 住所
- 岩手県平泉町平泉衣関202
- 参拝時間
- 8:30〜17:00(11月4日〜2月末は〜16:30)
- 休業日
- 無休
- 参拝料
- 800円
- 駐車場
- 455台
『旅コンテンツ 完全コレクション 息をのむ 絶景ドライブ 東日本』P.59


