

2025.08.15
, テーマ別
北海道の雄大な景色を旅する
- 歴史
- パワースポット
- アート
- 北海道

神と人が密接に関わるアイヌの暮らし
「アイヌ」という言葉は「人」という意味。神様は「カムイ」といい、アイヌにとって人々を取り巻くあらゆるものはカムイだという。太陽、月、山、海、川は言うに及ばす、クジラやフクロウなどの動物、柳やヨモギといった植物、臼や杵などの日用道具類に風、炎、雷まで。さらには天然痘や風邪といった病の神様もいる。神々は暮らしに密着しているため、松脂の神様、船着場の神様まであり、例えば川のように水源として、あるいは交通路として、さらには漁場として日常的に関わりの深い事象については複数の神様が座す。神道も八百万と言われるほど神様の数は多いが、カムイの数には及ばないかもしれない。

美しい景色に神々の足跡を感じとる
人々はもちろん神々を敬っており、猟の成功を祈ったり、糧を与えられたことを感謝する。が、時には病の神を「ここはあなたの働く場所ではないから他へ行きなさい」と説教して村から追い払ったり、子熊を村で2年ほど大切に育て、食料や防寒具という恵みとなった後、神様の元に帰った暁には「人間というのは良い者たちで人間界はとても良い所でしたよ」と報告してもらったりする。
アイヌにとってカムイはとても身近で、ある意味で対等。良いことも悪いことももたらす存在だ。アイヌの神話が残るところは聖地でもあり、風光明美な場所が多い。まるで人間のように怒ったり、ケンカしたりするカムイの物語を思い浮かべながら壮大な絶景を眺めたい。

人の存亡を賭けた神々の戦いの痕跡が残る奇岩の景色
アイヌ語でカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)と呼ばれる大雪山と海とをつなぐ石狩川も神話の舞台。なかでも神の村という意味を持つカムイコタンには神々の足跡が数多く残る。その昔、人々を滅ぼそうとしたニッネカムイ(悪い神さま)が付近に住む人々を滅ぼそうと川の流れを止めて鮭の遡上を妨げ、洪水を引き起こそうとした。それを阻止しようとしたのが英雄神、サマイクルで、激闘の末、ニッネカムイの首をはねたという伝説があり、付近にはサマイクルが斬りかかったときの刀痕が残るおう穴やニッネカムイの胴体、頭が石化したものだと言われる岩も残っている。
神居古潭
- 電話番号
- 0166-25-7168(旭川市観光スポーツ交流部観光課)
- 住所
- 北海道旭川市神居町神居古潭
- 営業時間
- 散策自由
- 休業日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- アクセス
- JR旭川駅から車で40分
- 駐車場
- あり
『旅コンテンツ 完全セレクション 神秘の聖地 聖域 パワースポット東日本 P.58

アイヌの言葉でカムイトー(神様の湖)と呼ばれる神秘の湖
摩周湖周辺にも神話が数多く残る。例えば湖に浮かぶ島についての物語。隣接する集落同士の諍いで急襲された村の首長が大怪我を負う。首長は年老いた母親にまだ幼い息子を逃すよう懇願して息絶えたため老婆は孫である男の子を連れて逃げるが、父の最後の様子を聞いた男の子は仇をとろうと来た道を村に向かって走り出したためはぐれてしまった。老婆は疲れ切った身体をひきずって孫の名を呼びながら彷徨い歩き摩周湖に辿り着く。すると湖に屹立する山の神、カムイヌプリが現れて「なぜ、そんなに嘆き悲しんでいるのか」と問うた。老婆はいきさつを話し、ここで孫を待ちたいと懇願。哀れに思ったカムイヌプリは老婆を島の姿に変え、カムイシュとしたという。
摩周湖とカムイシュ島
- 電話番号
- 015-482-2200(一般社団法人摩周湖観光協会)
- 住所
- 北海道弟子屈原野摩周湖第一展望台
- 営業時間
- 見学自由
- 休業日
- 見学自由
- 料金
- 見学自由
- アクセス
- JR摩周駅から車で15分
- 駐車場
- あり
『旅コンテンツ 完全セレクション 神秘の聖地 聖域 パワースポット東日本 P.60

全道各地のアイヌ文化が集結する村で暮らしやアートを体験する
アイヌコタンとは、アイヌの村を意味する言葉。阿寒湖アイヌコタンは阿寒の母と呼ばれる前田光子氏がアイヌの生活を守ろうと無償で土地を提供したことがきっかけで生まれた集落で、その後、全道から様々な文化を持つアイヌの人々が集まってきた。現在では120人ほどの人々がここで暮らしており、旅行者にはアイヌのアートを展示するギャラリーや古式舞踏の公演が催されるシアター、伝統の民芸品を販売するショップ、アイヌ料理が味わえる民芸喫茶なども人気がある。木彫り作品や、伝統文様を刺繍するコースター製作などが体験可能で、アイヌの文化や暮らし、その根底にある考え方などが垣間見られる。
阿寒湖アイヌコタン
- 電話番号
- 0154-67-2727
- 住所
- 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7-19
- 営業時間
- 施設店舗により異なる
- 休業日
- 施設店舗により異なる
- 料金
- 施設店舗により異なる
- アクセス
- 阿寒湖バスセンターから徒歩10分
- 駐車場
- あり
- その他
- オンネチセは[開業時間]10:00~16:30 [休業]土・日曜、祝日、12~4月 [料金]500円
『旅コンテンツ 完全セレクション 神秘の聖地 聖域 パワースポット東日本 P.55