

2025.02.21
, 海外
ベトナム南部の名物料理を食すホーチミン滞在
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マイルドで日本人の舌に合うベトナム料理
ベトナム料理は野菜たっぷり。東南アジアの料理には珍しくスパイスを多用せず、旨味を効かせたあっさり味で日本人の味覚に合う。なにより、米を中心に据えた食膳の組み立てとバリエーションが私たちにも親しみやすい。
さて、今回注目したいのがホーチミンに代表される南部の料理。日本同様、南北に長いベトナムは地域ごとに郷土料理があり、味付けも変わる。ざっくりと分ければ、ハノイなどの北部は、あっさりしつつ塩味が強め。ダナン、ホイアンなどがある中部の料理には唐辛子を多く使う。南部はココナッツや砂糖でマイルドかつ甘めに仕上げるのが特徴だ。

ホーチミンはメコン川の賜物。米も魚介も果実も豊富に実る
また、南部には肥沃なメコンデルタが広がっており食材は実に豊か。ベトナムの膳の中心である米をはじめ、淡水魚やエビなどの魚介、青梗菜や空芯菜といった野菜、さらにはマンゴーやドリアン、ドラゴンフルーツをはじめとするトロピカルな果物がふんだんに採れる。カイベーやカントーなど、ホーチミン近郊の街の水上マーケットに行くとカフェオレ色の水を満満と湛えてゆったりと流れるメコン川を、これらの収穫物を満載した小舟が大量に行き交っていてこの地の豊かさに圧倒される。中心都市であるホーチミンの旺盛な食欲を支えるのに充分な実りの土地だ。

ベトナムの代表料理、生春巻も南部発祥
日本で広くベトナム料理だと認識されているものには、ホーチミンを中心とした南部発祥の料理も多く、生春巻もそのひとつ。ライスペーパーは、メコン川流域の栄養分豊富な土壌と水が育んだ米にたっぷりと吸水させて乳状になるまで砕き、蒸し器に張った布に薄く広げて蒸し上げたあと乾燥させたもので、使う直前に水に潜らせて戻し、メコンデルタで養殖されたエビやたっぷりの生野菜を包む。
ベンタイン市場のすぐ近くにあるクアン・ブイは、ベトナムの家庭料理が味わえるレストランで春巻きの種類が豊富。ゴイクンと呼ばれる生春巻のほか、カニとエビ入りの揚げ春巻き、豚肉やエビ、漬物などを辛子菜で巻いたものなどが特に人気。
クアン・ブイ Quan Bui
- 電話番号
- 028-6686-8478
- 住所
- 222 - 224 Đ. Lê Thánh Tôn, Q.1
- 営業時間
- 7:00~23:00(LO22:30)
- 休業日
- 無休
- アクセス
- ベンタイン市場から徒歩2分
『おとな旅プレミアム ベトナム』p.46

生地の香ばしさとフレッシュな野菜の食感が好相性
南部発祥の有名料理がもうひとつ。バインセオだ。一般的にベトナム式お好み焼きと説明されることが多いが、生地と具材を混ぜてから焼く関西風ではなく、薄く敷いた生地に野菜や肉などを重ねていく広島スタイルに近い。生地は米粉にココナッツミルクやターメリックを加えたもので、たっぷりのモヤシ、豚肉、エビなどを乗せて焼く。葉野菜で包み、ヌクマム、砂糖、唐辛子などを使った甘酸っぱいタレに付けながら食せばパリパリと香ばしい生地、シャキシャキのモヤシ、フレッシュな葉野菜と食感のコントラストが楽しい。ここは店名にバインセオを掲げるバインセオの名店だが、春巻やソフトシェルクラブの唐揚げなどその他のメニューも充実。
バイン・セオ46A Banh Xeo 46A
- 電話番号
- 028-3824-1110
- 住所
- 46A Đinh Công Tráng,Q.1
- 営業時間
- 10:00~14:00/16:00~21:00
- 休業日
- 旧暦7・10月の15日、テト期間は10日間休み
- アクセス
- ダンディン教会から徒歩2分
『おとな旅プレミアム ベトナム』p.48

フランス文化を独自に発展させたホーチミン発のサンドイッチ
ベトナムの食文化を語る上で欠かせない要素がフランス。とくにホーチミンはフランスが植民地化を図る際に最初の拠点とした街で現在でもその影響が色濃い。市民の日常生活にも深く根差しており、植民地時代にフランス人によって持ち込まれたコーヒーはコンデンスミルクを加える特有の飲み方でベトナムコーヒーとして世界に知られるようになり、いまや世界第2位のコーヒー豆輸出国となっている。パンも独自の進化を遂げ、柔らかめのフランスパンにたっぷりの野菜とチャーシューやパテ、漬物などを挟み、ヌクマムやチリソースを加えたバインミーは近年、日本にも専門店ができるほどの人気。老舗ベーカリー、ニュー・ランは市内でも市民の多くが推す有名店だ。
ニュー・ラン Nhu Lan
- 電話番号
- 028-3829-2970
- 住所
- 50 Hàm Nghi,Q.1
- 営業時間
- 4:00~20:00
- 休業日
- 無休
- アクセス
- 市民劇場から徒歩10分
『おとな旅プレミアム ベトナム』p.48