2024.09.20

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国家「ニッポン」始まりの地

奈良の都の絢爛たる遺跡を見に行く

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日本の国名や政治システムが生まれた飛鳥・奈良時代

日本史の始まりは教科書的に言えば旧石器時代だろうか。土器や貝塚が出土する縄文期や水田での稲作が普及する弥生時代を経、やがて豪族連合による政治体制が築かれていく。

日本がひとつの国家としての形を成したのが飛鳥時代。大和朝廷が飛鳥、すなわち現在の奈良県にベースを置き、渡来した仏教と律令システムを基に独自の文明を築いた時代だ。続く奈良時代にかけてこの地は政治的にも文化的にも日本の中心だった。歴史に聖徳太子が登場し、大化の改新が起こり、律令制度が整えられ、隋や唐、百済や新羅や高句麗との国際政治が行われた。日本という国名が公式のものとなったのも大宝元年(701)。奈良は、まさに日本が日本として始まった場所と言える。

画像:奈良観光 / PIXTA(ピクスタ)

激動の時代を生きた人々が記した文献の数々

このころ、文字が普及したため『古事記』や『日本書紀』が記されて現代の私たちが当時を知る大きな手掛かりとなっている。神話、歴史書という政府によるマクロな視点からの文献だけでなく、さまざまな階級、立場、性別の人々が詠んだ歌も残されていて興味深い。昨年、奈良言葉での現代語訳『万葉集』が注目を集めたが、百済復興のため唐・新羅連合軍と戦った白村江の戦や、皇位を巡る内乱、壬申の乱などの歴史的大事件の裏側で起きていた人間模様、律令制度のもと沿岸防衛に派遣された防人の心情、片思いや不倫の恋心など、公の歴史や政治の下での暮らしや恋、仕事、喜怒哀楽がリアルな手触りで伝わってくる。

飛鳥時代に建造された世界最古の木造建築

文字による史料だけでなく、奈良には実際に触れることのできる遺跡が数多く残されている。遺跡とはいえ、今も現役のまま崇敬を集める古社、名刹ばかり。しかも建築物として、あるいは美術品としての価値が高く、何度訪れても鑑賞しきれないのが悩ましいほどだ。

例えば法隆寺。推古天皇15年(607)、聖徳太子により造営されたのが起源。『日本書紀』によると天智天皇9年(670)に全焼したとのことだが、飛鳥時代末期には再建された世界最古の木造建築だ。地震の多発地帯である日本にあって飛鳥時代から不倒の五重塔や聖徳太子を供養する夢殿、ご本尊の釈迦三尊像、中門で睨みをきかせる金剛力士像など見どころが多い。

  

法隆寺

     
電話番号
0745-75-2555
住所
斑鳩町法隆寺山内1-1
チェックアウト
チェックイン
営業時間
閉館時間
開業時間
閉園時間
開業時間
閉園時間
参拝時間
8:00~17:00、11月4日~2月21日は~16:30
観光期間
休業期間
休業日
無休
休館日
休園日
入園料
入館料
拝観料
境内無料、西院伽藍・大宝蔵院・東院伽藍共通券1500円
参拝料
料金
アクセス
エヌシーバス・法隆寺門前下車すぐ
駐車場
近隣駐車場利用(有料)
予算
客室数
部屋数
アメニティ
サイト
その他

『おとな旅プレミアム 奈良 大和路』P.54

奈良の枕詞、あおによしの元となった青丹の色が美しい

飛鳥・奈良時代とは、ともに奈良に政治の中心が置かれた時期の歴史区分だが、美術史ではこの時期を白鳳時代と呼ぶ。日本史的に言えば大化改新(645)~平城京遷都(710年)のころだ。中大兄皇子(天智天皇)、大海人皇子(天武天皇)と、若き皇子を中心に新たな国家を創ろうという活力に溢れた時代で、海外からの文物を積極的に取り入れた瑞々しさが特徴的。ベースには仏教があり、この時代に建造された古刹は多いが白鳳文化の特徴と美しさを堪能するための第一選択が薬師寺。伽藍の多くは昭和に再建されたものだが、青丹の鮮やかな建造物は竜宮城にも例えられる。天平2年(730)に建立された東塔はリズミカルな屋根の連なりが美しく、凍れる音楽とも評される。

 

 

薬師寺

     
電話番号
0742-33-6001
住所
奈良市西ノ京町457
チェックアウト
チェックイン
営業時間
閉館時間
開業時間
閉園時間
開業時間
閉園時間
参拝時間
8:30~17:00(入場は~16:30)
観光期間
休業期間
休業日
無休
休館日
休園日
入園料
入館料
拝観料
1100円(2023年4月28日~2024年1月15日)、特別共通割引券1600円(面僧坊、食堂含む)
参拝料
料金
アクセス
近鉄・西ノ京駅から徒歩3分
駐車場
127台(有料)
予算
客室数
部屋数
アメニティ
サイト
その他

『おとな旅プレミアム 奈良 大和路』P.46

国宝クラスの像が多数。ガラスケースなしで拝見できる

白鳳が若い国家が海外の新しい文物を積極的に取り込んだ文化だとすると、続く天平はそれを日本のスタイルに高め、昇華させた時代だ。白鳳時代、寺は塔を中心に建造されたが、天平になると次第に本尊仏を安置する金堂がメインとなっていく。自然、天平の仏像には傑作が多い。写実的な表現が特徴で、なかでも興福寺の阿修羅像にはファンが多い。スタイル抜群の美青年などとも評される像で、小説家、堀辰雄は奈良の旅を綴ったエッセイ、『大和路・信濃路』でその姿を若木に例え、初々しい切ない眼差しを絶賛している。興福寺には30を超える国宝、重要文化財指定の像がある。塔や御堂と併せ、国宝館は見逃せない。

 

  

興福寺

     
電話番号
0742-22-7755
住所
奈良市登大路町48
チェックアウト
チェックイン
営業時間
閉館時間
開業時間
閉園時間
開業時間
閉園時間
参拝時間
境内自由、東金堂・国宝館9:00~17:00(入館は~16:45)
観光期間
休業期間
休業日
無休
休館日
休園日
入園料
入館料
拝観料
参拝料
東金堂300円、国宝館700円、東金堂と国宝館の共通券900円、中金堂500円
料金
アクセス
近鉄・奈良駅から徒歩5分
駐車場
あり(有料)
予算
客室数
部屋数
アメニティ
サイト
その他

『おとな旅プレミアム 奈良 大和路』P.34

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大和路

定価:1,100円(税込)A5判

ISBNコード:9784300109809