2024.05.24
, 国内
夏の釧路湿原を探索する
- 観光名所
- 絶景
- グルメ
- 北海道・東北
見渡す限りどこまでも続く大湿原
釧路湿原の広さは2万haと日本最大。その多くに人の手が入っておらず自然のままの姿を残す。また、この湿原は元々、海が後退して形成されたものだが、海水を湛えたまま流入出口を閉ざした海跡湖や、淡水の流れる釧路川、堆積した泥炭の上に雨水のみが溜まるエリアなど、ひと口に湿原と言っても多様な環境が存在することもあって動植物相が豊か。その数、植物だけで約700種。動物では哺乳類39種、鳥類およそ200種、爬虫類5種、両生類4種、魚類38種、昆虫に至っては約1100種類に及ぶ。大型の猛禽類、オジロワシや、氷河期から生息し続けているクロハナシノブ、キタサンショウウオなど希少種も多い。
個体数も徐々に回復。釧路湿原のシンボル、タンチョウ
なかでも釧路湿原のシンボルとされるのがタンチョウ。頭頂部に華やかな赤を戴く優雅な鳥だ。体長は約140cm、翼を広げると240cmにもなる鶴で、アイヌ語では湿原にいる神さまを意味するサロルンカムイと呼ばれる。かつては北海道各地で見られていたと言うが明治期以降、乱獲と水源となる山や森の環境悪化のため激減。一時は全滅してしまったと思われていたが、大正末期の1924年に釧路湿原で十数羽ほどが再発見された。現在では国の特別天然記念物に指定され、国や自治体による冬の給餌が功を奏して個体数も1500羽を越えるほどに増えつつある。冬、雪上で羽を広げてダンスでも舞うように見える姿はまさに湿原の神さま。神々しささえ感じる。
かわいい動物たちの暮らす動物園で間近にタンチョウを観察
野生のタンチョウに出会えるのはおもに冬だが、冷涼な気候が人にとって過ごしやすい夏季に訪れるなら動物園がおすすめ。釧路市動物園では保護、繁殖以外にも研究や生息地の環境維持にも注力し、ここで治療を終えたあと放鳥されて無事に野生に戻った個体も、野生には戻れずとも飼育下で繁殖に成功した個体も多い。
またタンチョウも暮らす北海道ゾーンでは道東の自然環境を再現。エゾリスやエゾモモンガのほか、北海道に生息する5種類のフクロウなどが飼育、展示されている。ほかにもレッサーパンダやホッキョクグマなどたくさんの動物たちに会えるが、なかでも人気者はアムールトラのタイガとココア。彼らに会うため遠方から定期的に訪れるファンも多い。
釧路市動物園
- 電話番号
- 0154-56-2121
- 住所
- 釧路市阿寒町下仁々志別11
- 営業時間
- 9:30~16:30 10月15日~4月9日10:00~15:30
- 休業日
- 無休(12~2月は水曜、祝日の場合は開園)
- 料金
- 580円
- アクセス
- JR釧路駅から車で30分
- 駐車場
- あり
『おとな旅プレミアム 知床・阿寒 釧路湿原』P. 73
ゆったりと走る列車の窓から雄大な湿原を望む
JR釧網本線の釧路から塘路まで湿原を縦断するように走るノロッコ号は4月~10月ごろまでと夏季のみ運行する観光列車。釧路川に沿って雄大な湿原のなかをゆっくりとした速度で行き、自由に開閉できる窓を設けたりビューポイントで減速運転したりと眺望を楽しむための工夫が施されている。指定席は木目調のインテリアがかわいらしく、テーブルを配したボックス席や窓に向かって座れるベンチシートがいい。岩保木水門や釧路川のほか、運がよければ野生動物の姿が見られることもある。終点の塘路駅の駅舎内にはカフェがあり、ドリンクのほか、手作りアイスクリームや近くの牧場のヨーグルトなどが味わえる。
くしろ湿原ノロッコ号
- 電話番号
- 011-222-7111(JR北海道電話案内センター)
- 住所
- 釧路市大通14-5(JR釧路駅)
- 料金
- 釧路駅~塘路駅間640円、指定席は別途840円
- 駐車場
- なし
- その他
- [運行期間]4月下旬~10月(運転日は要確認)
『おとな旅プレミアム 知床・阿寒 釧路湿原』P. 71
半世紀以上にわたって愛されるザンギの名店
いまや北海道グルメとして広く知られるザンギ(鶏の唐揚げ)は釧路が発祥とも言われるが、その元祖と呼べるお店がこの鳥松だ。骨なしも選べるが、一番人気のメニューは骨付きザンギ。特に古くからの常連客は骨なしの食べやすさを補う旨さがあると骨付きを選ぶ。衣はカリッと、中はジューシーに揚げた鶏はそれだけでおいしいが、スパイスの効いた特製のタレで味わうとさらに美味。ビールがどんどんと進む。店内で食す人のほか、テイクアウトの注文をする電話もひっきりなしに鳴る人気のお店だ。
鳥松
- 電話番号
- 0154-22-9761
- 住所
- 釧路市栄町3-1
- 営業時間
- 17:00~翌0:30
- 休業日
- 日曜
- アクセス
- JR釧路駅から徒歩15分
- 駐車場
- なし
『おとな旅プレミアム 知床・阿寒 釧路湿原』P. 81