2023.05.26
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2023年に行くべき盛岡
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ロンドンに次ぐランクインで改めて脚光を浴びる盛岡
コロナ禍による行動制限や社会的ルールが解除され、以前の日常が戻るにつれて各地で外国人旅行者の姿が戻ってきているが、その目的地としてひと際注目を集めているのが岩手県盛岡市。ニューヨーク・タイムズが選んだ「2023年に行くべき52ヶ所」でロンドンに次ぐ2番目に紹介されたのだ。
ロンドンは70年ぶりというチャールズ新国王の戴冠式に伴い、おもにイギリス連邦に属する国の人々や歴史好き、世界の王室ファンらの渡英者数増加が顕著なことは明らかだが、盛岡については、いままでは日本旅行における注目地といえば東京や京都、大阪、福岡といった、いわゆる巨大都市が主だったことなどもあり、このランクインは驚きをもって日本国内でも伝えられた。
どっしりとした風格を備えた歴史ある城下町
主たる選出理由は、新幹線を使えば東京から短時間でアクセスできること、でありながら山や川といった自然が豊かで、かつ混雑を避けながら歩けること、大正時代前後に建てられた和洋折衷の建物が多いこと、近くに温泉地があることなどで、実際、当該記事を読んだ外国人旅行者が増加している。
確かに盛岡はいい。市街地に川が流れ、森が近く、空が広い。ゆえに空気が澄んでおり、城下町として、あるいは明治、大正期以降の県庁所在地としての歴史があり、宮沢賢治、石川啄木らが暮らした街という来歴にふさわしい深い文化がある。何もかもが雑多に混ざり合うコスモポリスという意味での都会、あるいは、あらゆるものを横並びに築いた再開発の結果としての無個性な街ではなく、土地固有のキャラクターを濃厚に備えた品格ある都市で、美観が素晴らしい。ふんだんな名所、美食を持った魅力的な旅行地だ。
東北唯一。辰野金吾設計の建造物
明治44年(1911)、盛岡銀行本店として建てられた盛岡を代表する洋館。東京駅や日本銀行本店などの設計者として知られる辰野金吾氏の作品で、国の重要文化財にも指定されている。その後、岩手殖産銀行(のちの岩手銀行)に譲られたが、平成24年(2012)8月、銀行としての役割を終え、3年半に及ぶ保存修理工事を経て現在では一般公開されている。
応接室や重役室、会議室なども往時のままに復元されており、旧金庫室、旧支配人室などが見学可能。無料で立ち入ることのできるゾーンは県民、市民の憩いのスペースとなっており、展示やコンサートなどのイベントが催されていることもある。
岩手銀行赤レンガ館(いわてぎんこうあかレンガかん)
- 電話番号
- 019-622-1236
- 住所
- 岩手県盛岡市中ノ橋通1-2-20
- 営業時間
- 10:00~17:00(入館は~16:30)
- 休業日
- 火曜
- 料金
- 300円、小・中学生100円(有料ゾーン)
- アクセス
- 盛岡バスセンターバス停から徒歩1分
- 駐車場
- なし
(『おとな旅プレミアム 十和田湖・奥入瀬 盛岡・遠野・角館』 P.104)
ニューヨーク・タイムズの記事でも紹介されたそば
盛岡は麺がおいしい。キュウリとともに肉味噌をたっぷりと掛けたじゃじゃ麺や牛骨のダシがさっぱりとおいしい冷麺が有名だが、盛岡の元祖麺料理といえばわんこそば。気候の寒冷な岩手では、かつては米よりもソバの実の栽培が盛んだったこともあり、また、もてなしの気持ちの厚い土地柄でもあって、客を迎える際、たらふく食べて満足して欲しいとたくさんのそばを用意したのがわんこそばの成り立ち。平民宰相と呼ばれた第19代内閣総理大臣、原敬が故郷、盛岡のそばのうまさを讃えて「そばはわんこに限る」と言ったと伝わるほどの名物だ。
東家は創業明治40年(1907)という老舗で、給仕をしてくれるスタッフの「はい、じゃんじゃん。はい、どんどん。」というリズミカルな掛け声とともに喉越しの良いそばが次々と胃に収まっていく。食べ終わりのサインはお椀の蓋をしめることなのだが、お腹いっぱい食べて欲しいという盛岡らしいもてなしの精神はすべてのスタッフに行き渡っており、蓋をしめようとする客と勧める店員との攻防が繰り広げられている。
東家本店(あずまやほんてん)
- 電話番号
- 0120-733-130
- 住所
- 岩手県盛岡市中ノ橋通1-8-3
- 営業時間
- 11:00~15:00 17:00~19:00(LO)
- 休業日
- 無休
- アクセス
- 盛岡バスセンターバス停から徒歩2分
- 駐車場
- あり
(『おとな旅プレミアム 十和田湖・奥入瀬 盛岡・遠野・角館』 P.110)
コーヒーのおいしい街、盛岡の自家焙煎コーヒー
ニューヨーク・タイムズの記事で特筆されている盛岡の魅力がもうひとつ。街においしいコーヒーやスコーンを出す店があることだ。意外にも思えるかもしれないが、1世帯あたりのコーヒー消費額で盛岡市は毎年、全国5位以内に入る。街を歩いてみれば素敵な佇まいの喫茶店が多く、地元の人たちに尋ねてみると、それぞれに気に入りの1軒を持っていることが多い。そして各店が、うちはネルドリップ、うちはサイフォン、うちは注文ごとに豆を挽くなどのこだわりを持っていて、うまい。だから盛岡の人々はコーヒーの味にうるさくなり、店のコーヒーのクオリティがますます高まるという好循環が生まれる。
紺屋町のクラムボンは自家焙煎コーヒーを供する人気店。店主が世界各地から厳選した生豆を仕入れ、未成熟豆や割れ豆といったいわゆる欠点豆をていねいに手作業ではじき、焙煎する。コーヒーにこだわりを持つ店はトーストや玄米カレーといったフード・メニューも絶品。なかでもプリンはカスタードのほか、黒ごまやカボチャ、古代豆を使ったものなど変わり種もあり、おすすめ。
クラムボン
- 電話番号
- 019-651-7207
- 住所
- 岩手県盛岡市紺屋町5-33
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 休業日
- 日曜、第1・3・5水曜
- アクセス
- 上の橋バス停から徒歩3分
- 駐車場
- あり
(『おとな旅プレミアム 十和田湖・奥入瀬 盛岡・遠野・角館』 P.116)
*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。
画像素材: PIXTA 他