2026.06.05
, 日本の絶景
河岸に広がるダイナミックな奇岩と新緑の長瀞へ
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多くの歌人、俳人が詠んだ長瀞の風景
岩畳や赤壁などの雄大な風景は文人たちの琴線に触れるらしい。目にすると句や歌にしたくなるのだろう。長瀞には文学碑が多い。これからの季節である夏を詠んだ句には高浜虚子の「これよりは尚奥秩父鮎の川」や、長瀞の隣町である皆野町出身の俳人、金子兜太の「ぎらぎらの朝日子照らす自然かな」などがあるが、宮沢賢治の「つくづくと『粋なもやうの博多帯』荒川ぎしの片岩のいろ」という歌がおもしろい。
岩の模様を、大小のモチーフを繋げてリズミカルな縞を描くことの多い博多帯に例えていて作者が見たであろう岩の柄や風合いが目に浮かぶ。土壌学、地質学を修めた宮沢賢治らしい視点と特有のおかしみもある。
中国古典の名文、『前赤壁賦』を思わせる川と崖
そもそも赤壁という命名自体が文学的だ。元になった赤壁とは『三国志』に描かれた古戦場だが、後の知識人たちには歴史というよりは文学として親しまれてきた。
中国を代表する芸術家、蘇軾の『前赤壁賦』にも壬辰の秋(1082年)、夜の長江に舟を浮かべて酒を飲むさまがある。清風おもむろに来たりて水波おこらず、と流れが穏やかな淵を意味する地名、長瀞に似た風景のなかで曹操が周瑜に苦しめられた折の赤壁に思いを馳せ友人たちと語り合う。実際の戦場とは少し離れていて、蘇軾自身それを承知でこの名文を書き上げており、現在では古戦場は「武赤壁」、蘇軾が舟を浮かべた辺りは「文赤壁」と呼ばれて共に名所になっている。
秩父赤壁を舟から眺めるライン下り
長瀞で『前赤壁賦』に書かれたような舟遊びの趣が楽しめるのがライン下り。毎年3月の半ばから12月始めにかけて運行されており少人数なら予約も不要で気軽に参加できるが、和船に乗って蛇行する急流を行くスリルも、ゆったりと流れる瀞から見る岸辺の岩畳や崖、新緑や紅葉といった眺望もたっぷりと楽しめる。
中国、長江のレッドクリフは実際の所あまり赤くないが長瀞の赤壁は黒色片岩の鉄分が表面に染み出して酸化し赤みを帯びている。扁平な片岩が層を成す虎岩や、マンガンを豊富に含んでピンク色に見える紅簾石片岩など宮沢賢治も触れたであろう多彩な岩の眺めもおもしろい。
長瀞渓谷
- 電話番号
- 長瀞町観光案内所0494-66-0307
- 住所
- 埼玉県長瀞町長瀞529-1
- 開業時間
- 見学自由
- アクセス
- 関越自動車道・花園ICから国道140号を経由して、車で30分。
- 駐車場
- あり
『おとな旅プレミアム 日本の絶景 関東』P.144
標高497mの宝登山に架かるロープウェイ
上空からの広い景色を望むならロープウェイ がいい。山麓駅から山頂駅までは全長832m、所要5分で車中からは秩父盆地や秩父連山、荒川とパノラマの景色が堪能できる。
宝登山の頂上はロープウェイの山頂駅からさらに6分ほど歩いた場所にあり、一帯には「ろうばい園」、「梅百花園」のほか、ツツジ、シャクナゲ、福寿草などが咲く「四季の丘」、「寶登山神社奥宮」、「宝登山小動物園」、「レストハウス」、「平和の鐘」などがある。景色を眺めながらお詣りしたり、動物たちと触れ合ったりとのんびり過ごすのに最適。ちなみにロープウェイのゴンドラの名前は「ばんび号」と「もんきー号」で動物園の人気動物に由来している。

宝登山ロープウェイ
- 電話番号
- 0494-66-0258
- 住所
- 埼玉県長瀞町長瀞1766-1
- 営業時間
- HP要確認
- 料金
- 往復1200円
- アクセス
- 関越自動車道・花園ICから車で30分。
- 駐車場
- あり
『おとな旅プレミアム 日本の絶景 関東』P.145
食べ歩きや買い物を楽しみながら岩畳に向かう
秩父鉄道の長瀞駅から長瀞渓谷の「岩畳」へと繋がる商店街。みやげ物を扱うショップやカフェなどが軒を連ねていて、これらを眺めながら歩くだけでも楽しい。秩父の山奥で作られる天然の氷を使った老舗のカキ氷や漬け物屋さんが作る冷やしきゅうりなど、これからの季節に食べたくなる絶品メニューが多く、食べ歩きするのもおすすめだ。
なかでもランチに最適なのが豚みそ丼専門店 有隣。店名通りの専門店で、ドリンクのほかは小盛、並盛、大盛とボリュームの異なる豚みそ丼のみ。国産の豚ロースを秩父産みそを使ったオリジナルのタレに漬け、炭火で炙った秩父のソウルフードでご飯が進む。暑い日はビールにもピッタリのひと品だ。

長瀞町岩畳通り商店街
- 電話番号
- 0494-66-0307(長瀞町観光案内所)
- 住所
- 埼玉県長瀞町長瀞
- 営業時間
- 店舗により異なる
- アクセス
- 関越自動車道・花園ICから車で30分。
- 駐車場
- あり
『おとな旅プレミアム 日本の絶景 関東』P.145


