おとな旅プレミアム上質な旅を提案する、大人向け「国内旅行ガイド」シリーズ

2025.01.10

, 海外

スープも具材も付けダレも

自由に楽しむ香港の火鍋

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通年人気の火鍋だが、やっぱり冬はことさらうまい

香港の冬は意外と寒い。無論、北国の寒さとは別物だが、沖縄より南の緯度と高温多湿の夏からイメージするよりかなり寒い。その上レストランやモールなど冬でも冷房の入った商業施設が多い。教会が寒さ避けのシェルターとして開放されるほどの冬日、チェックインしたホテルの客室のクーラーがついていて驚いたこともある。そもそも暖房を備えていない施設も一般的だ。

そのせいかどうか香港人は火鍋が好きだ。もっとも火鍋店は夏でも賑わっていて、地元の人は暑い日は汗をかいて体内の熱を排出するのが1番だと話す。また、夏は夏で効き過ぎた冷房で冷えた身体が温かい食べ物を欲するという人もいる。理屈はともかく香港人は火鍋が好きなのだろうと思う。

わがままに自分式を貫くのが香港鍋の流儀

鍋好きという点では日本人も引けを取らないが、日本の鍋と火鍋の決定的な違いは自由度。日本には水炊きやてっちり、モツ鍋、昨今ではトマト鍋やカレー鍋まで種類が色々あって、その分、水炊きの出汁はこれ、具材はこれ、と概ねの決まりがある。が、香港の鍋料理はほとんど火鍋一択。一方で出汁、具材、果ては付けダレに至るまで選択肢は多い。

客はスープを選び(しかも大抵2種類!)、具材を選び、数種から数十種にも及ぶ調味料からオリジナルともいえる自分流の付けダレを作る。すべては食べる人の思うがまま。一緒に鍋を囲んでいても具材と味付けの違う料理を食していることがあり、まったく同じ鍋には二度と出会えないのだと思うことすらある。

レトロでかわいいインテリアも人気の理由

鶏と菊花、魚の浮袋と金華ハム、ロブスターと鮑、豆乳、麻辣など、スープの選択肢が多く、メニューに鴛鴦可と記されているものはハーフ&ハーフも注文可。タレ用の調味料や薬味も多く、あまりの選択肢の多さにスープ選びやタレ作りに迷ってしまうほどだ。

自由に食すのが火鍋だが、迷ったときにはコツもある。まず、スープはスパイシーなものと、出汁の旨みが強く味付けがあっさりしたものの2種類を選ぶ。タレもスープに合わせて2種類つくる。辛いスープには練り胡麻ベースのタレがよく合うし、サッパリスープには醤油を基本に胡麻油やお酢を加えたものが合う。好みによって、これにネギやパクチー、チリなどの薬味を加えれば間違いない。