vol.88

いまもカッパや山猫、又三郎が遊ぶ理想郷民話と童話のふるさと、盛岡・遠野・花巻

柳田國男の遠野物語に
宮沢賢治のイーハトーブ
豊かな自然を舞台に神や妖怪
そして人が共存する山里


遠野物語、イーハトーブ童話を生んだ舞台と自然を見に行く

おとな旅 十和田湖・奥入瀬 盛岡・遠野・角館

岩手県花巻、遠野。車でたった1時間ほどの距離にあるこの2つの街はともに自然と人の暮らしが共存する美しい山里。明治42(1909)年、日本の民俗学の祖である柳田國男が遠野を訪れて『遠野物語』を記し、また、明治29(1896)年、花巻に宮沢賢治が生まれて、それまでの昔話、お伽話とは一線を画す新しい日本の童話を作ったのは、この地に広がる美しい田園風景と、自然と寄り添ってひたむきに素朴に暮らす人々があったればこそ。さらに、どちらの街も遠野鍋倉城、花巻城という城を擁する城下町であり、文化・教育レベルの高い土地柄であったことも、物語の醸成に一役買っていたのかもしれない。
いまも、遠野にはカッパ淵やデンデラ野、山崎のコンセイサマといった物語の舞台が、花巻には銀河鉄道のモチーフになったというめがね橋や賢治が名付けたイギリス海岸が残り、周囲には里山や滝、川、お社など柳田國男や宮沢賢治が身を置いた時代のままの風景が残る。


宮沢賢治の足跡を辿るなら盛岡にも訪れたい

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イーハトーブという地名がある。賢治の童話世界の住人たちが暮らすエリアのことだ。実際の地名をエスペラント語やロシア語風にしたとされる造語で、ほかに花巻をハームキヤ、東京をトキーオなどとも表記している。イーハトーブについては『注文の多い料理店』の広告文に説明がある。「イーハトヴは一つの地名である。(中略)これは著者の心象中にこの様な状景をもつて実在したドリームランドとしての日本岩手県である」と。かつての盛岡藩城下町であり、現在の県庁所在地でもある盛岡も無論、イーハトーブの重要な一部。街には賢治が通った盛岡高等農林学校(現在の岩手大学農学部)や『注文の多い料理店』を世に出した出版社など、宮沢賢治の足跡が点在している。


いたずらカッパの生息する小川

■カッパ淵(かっぱぶち)

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延徳2(1490)年創建の古刹、常堅寺の裏を流れる小川。茂った木々や背の高い草が川面に張り出し、澄んだ水の底から今にもカッパたちが顔を覗かせそうな雰囲気が漂う。遠野物語によるとこの地のカッパは緑ではなく赤い顔をしており、イタズラ好き。馬を淵に引きずり込むところを見られて詫びを入れたり、逃してくれた常堅寺の和尚さんへの恩返しに寺の火事を消したりと人との交流も一度や二度ではないらしい。常堅寺にはいまもカッパの姿をした狛犬が置かれている。


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 電話番号nbsp;:0198-62-1333(遠野市観光協会)/0198-62-8655(伝承園)
 住所 :岩手県遠野市土淵町土淵
 アクセス :JR遠野駅から岩手県交通バス・土淵線で25分、伝承園下車、徒歩5分。
 駐車場 :伝承園駐車場利用

遠野市観光協会
 電話番号nbsp;:0198-62-1333(遠野市観光協会)
 住所 :岩手県遠野市新殻町5-8
 開業時間 :8:30~17:30
 休業日 :無休
 アクセス :アクセス:JR遠野駅から徒歩1分
(『おとな旅プレミアム 十和田湖・奥入瀬 盛岡・遠野・角館 ’21-’22年版』 P. 134)


宮沢賢治グッズも販売。岩手県産食材を使った料理が味わえる

■山猫軒本店

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『注文の多い料理店』の舞台、山猫軒を模したレストランで、西洋造りの建物と猫をあしらった看板が童話の世界を再現している。宮沢賢治の童話『フランドン農学校の豚』で農学校の生徒が「豚のからだはまあたとえば生きた一つの触媒だ。白金と同じことなのだ。」と言ったことにちなんで名付けられた白金豚や花巻温泉郷の石黒農場で育ったほろほろ鳥など、イーハトーブ、岩手の食材を用いた料理がおいしい。稲穂の芯を使って餅を切り分けるでくのぼう、すいとんなど、郷土料理も好評を博す。


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 電話番号 :0198-31-2231
 住所 :岩手県花巻市矢沢3-161-33
 開業時間 :9:00~17:00、食事10:00~16:30(LO)
 休業日 :無休
 アクセス :新花巻駅から岩手県交通バス・花巻駅・イトーヨーカドー行きで4分、賢治記念館口下車、徒歩10分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 十和田湖・奥入瀬 盛岡・遠野・角館 ’21-’22年版』 P.141)


社名は宮沢賢治が命名した出版社。現在は工芸店として人気

■光原社

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もとの社名を東北農業薬剤研究所といい、農学校の教科書を出版したり肥料の製造を行ったりしていた。創業者、及川四郎氏は盛岡高等農林学校時代の賢治の先輩で、交流のなか、賢治に数多くの童話の原稿を預けられたという。賢治の生存中、唯一発行された童話集、『注文の多い料理店』を出したのもこの会社で、光原社という社名も賢治と及川氏とのおしゃべりの中から定まったもの。及川氏は柳宗悦、棟方志功、高橋萬治らとの縁も深く、現在も全国から選りすぐられた手作りの民芸品や家具を取り扱っている。また、敷地内にあるカフェ、可否館に置かれた家具やインテリアも素敵。ハンドドリップの香り高いコーヒーやくるみクッキー、ワインゼリーなどが味わえる。


おとな旅 十和田湖・奥入瀬 盛岡・遠野・角館

 電話番号 :019-622-2894
 住所 :岩手県盛岡市材木町2-18
 開業時間 :10:00~18:00(冬季は~17:30)
 休業日 :毎月15日(土・日曜、祝日の場合は翌日)
 アクセス :JR盛岡駅から徒歩10分
 駐車場 :なし
(『おとな旅プレミアム 十和田湖・奥入瀬 盛岡・遠野・角館 ’21-’22年版』 P.106)


*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。


画像素材: PIXTA 他


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