vol.77

アイヌ民族の視線を手掛かりに歩く阿寒、摩周の大自然

神羅万象すべてが神
大自然の厳しさも豊かさも
ともに敬い、身近に寄り添う
アイヌの歴史と暮らし


ヒトの営みも自然の一部だと改めて認識する

おとな旅 知床・阿寒 釧路湿原

「アイヌ」という言葉は「人」という意味。神様は「カムイ」といい、アイヌにとって人々を取り巻くあらゆるものがカムイだという。太陽、月、山、海、川は言うに及ばす。クジラやフクロウなどの動物、柳やヨモギといった植物、臼や杵などの日用道具類に風、炎、雷。天然痘や風邪といった病の神様もいる。神々は暮らしに密着しているため、松脂の神様、船着場の神様まであり、例えば川のように水源として、あるいは交通路として、さらには漁場として日常的に関わりの深い事象については複数の神様が座す。神道も八百万といわれるほど神様の数は多いが、カムイの数には及ばないかもしれない。


アイヌとカムイの関わりもおもしろい

おとな旅 知床・阿寒 釧路湿原

人々はもちろん神々を敬っており、猟の成功を祈ったり、糧を与えられたことを感謝する。が、時には病の神を「ここはあなたの働く場所ではないから他へ行きなさい」と説教して村から追い払ったり、神がその肉や毛皮を人の暮らしに役立てるために遣わした子熊を村で2年ほど大切に育て、食料や防寒具という恵みとなった後、神さまの元に帰った暁には「人間というのは良い者たちで、人間界はとても良い所でしたよ」と報告してもらったりする。アイヌにとってカムイはとても身近で、ある意味で対等。良いことも悪いことももたらす存在のようだ。北海道のなかでも知床、阿寒、釧路のあたりはことに自然が美しく、神話の多いところ。まるで人間のように怒ったり、ケンカしたりするカムイの物語を思い浮かべながら壮大な絶景を眺めたい。


アイヌの言葉でカムイトー(神様の湖)と呼ばれる神秘の湖

■摩周湖

おとな旅 知床・阿寒 釧路湿原

旅で訪れただけの私たちの目にも神秘的に映る摩周湖周辺には、いくつもの神話が残る。例えば摩周湖に浮かぶ島、カムイヌプリとカムイシュの物語。隣り合う二つの集落で諍いが起こり、急襲された村の首長は大怪我を負う。今際の際、首長は年老いた母親にまだ幼い息子を逃すよう懇願して息絶えたため老婆は孫である男の子を連れて逃げるが、父の最後の様子を聞いた男の子は仇をとろうと来た道を村に向かって走り出し、祖母と孫ははぐれてしまった。老婆は疲れ切った身体をひきずって孫の名を呼びながら彷徨い歩き、摩周湖に辿り着く。すると湖に屹立する山の神、カムイヌプリが現れて「なぜ、そんなに嘆き悲しんでいるのか」と問うた。老婆はいきさつを話し、ここで孫を待ちたいと懇願。哀れに思ったカムイヌプリは老婆を島の姿に変え、カムイシュとしたという。 湖畔には3つの展望台があり、晴れた日には世界第二位の透明度を誇る摩周湖ブルーの湖面が美しい。また、夏季には早朝の雲海を目当てに人々が訪れるガイドツアーも人気を博す。


 摩周湖第一展望台
 電話番号 :015-482-1530(摩周湖レストハウス)
 住所 :弟子屈町国有林内
 開業時間・休業日・料金 :見学自由
 アクセス :JR摩周駅から車で20分
 駐車場 :あり (4月下旬~11月上旬は有料)

 摩周湖第三展望台
 電話番号 :015-482-2200(摩周湖観光協会)
 住所 :弟子屈町弟子屈原野
 開業時間・休業日・料金 :11月上旬~4月下旬は閉鎖
 アクセス :JR摩周駅から車で25分
 駐車場 :あり

 裏摩周展望台
 電話番号 :0152-25-4111(きよさと観光協会)
 住所 :清里町国有林内
 開業時間・料金 :見学自由
 休業日 :11月上旬~4月下旬は閉鎖
 アクセス :JR緑駅から車で30分
 駐車場 :あり ※2021年8月まで改築工事のため封鎖
(『おとな旅プレミアム知床・阿寒 釧路湿原 ’21-’22年版』 P.96-97)


全道各地のアイヌ文化が集結する村で暮らしやアートを体験する

■阿寒湖アイヌコタン

おとな旅 知床・阿寒 釧路湿原

アイヌコタンとは、アイヌの村を意味する言葉。阿寒の母と呼ばれる前田光子氏が、アイヌの生活を守ろうと無償で土地を提供したことがきっかけで生まれた集落で、その後、全道からさまざまな文化を持つアイヌが集まってきた。現在では、アイヌのアートを展示するギャラリーや古式舞踏の公演が催されるギャラリー、伝統の民芸品を販売するショップ、アイヌ料理が味わえる民芸喫茶などがあり、木彫り作品や、伝統文様を刺繍するコースターなどの製作体験が可能。


 電話番号 :0154-67-2727(阿寒アイヌ工芸協同組合)
 住所 :釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7-84
 開業時間 :9:00~22:00(施設・店舗により異なる)
 休業日 :不定休
 アクセス :阿寒湖バスセンターから徒歩10分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 知床・阿寒 釧路湿原 ’21-’22年版』 P.102)


阿寒湖を間近に温泉を楽しむラグジュアリーな宿泊施設

■あかん遊久の里 鶴雅

おとな旅 知床・阿寒 釧路湿原

湯量豊かに高温の天然温泉が湧く阿寒湖温泉内の旅館。湖畔に建っているため眺望も素晴らしく、特に湖に迫り出すように設えられた8階展望大浴場、間近に湖に接する1階大浴場からの眺めは絶景。館内施設が充実しているのも魅力で、ヘッド、ボディ、フットと全身のマッサージが受けられるリラクゼーションルームや、夜にはプロジェクションマッピングの輝く庭園、旬の食材をふんだんに使った料理を供するダイニングなど、宿泊者を飽きさせず、心ゆくまでリラックスできるサービスが揃う。貴賓室や露天風呂付きの部屋からデザイナーズルーム、シングルまで客室のタイプが多彩なので、旅のスタイルに合わせて選択できるのもうれしい。


 電話番号 :0154-67-4000
 住所 :釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-6-10
 アクセス :たんちょう釧路空港から車で1時間
 駐車場 :あり(有料)
 IN:15:00
 OUT:10:00
 客室数:225室(全室禁煙)
 予算 :1泊2食付き1万5400円~(本館)、別途入湯税
(『おとな旅プレミアム 知床・阿寒 釧路湿原 ’21-’22年版』 P.144)


*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。


画像素材: PIXTA 他


【LINE公式アカウントでも配信中!】
特集記事はLINE公式アカウントでも配信中です。ぜひ「友だち追加」してください

友だち追加