vol.76

これぞ日本における元祖ミックスカルチャー和、蘭、中の文化が融合する長崎の街

200年以上の時をかけて溶け合った
異国情緒溢れる街並みと
洋の東西も時空も越えた
ここにしかないユニークな文化に浸る


布教と密貿易対策で造られた外国人隔離施設

おとな旅 長崎 ハウステンボス・五島列島

長崎に出島が造られたのは寛永13年(1636)のこと。西洋の宗教が侵入してくるのは断じて許容できない。が、国際交易による旨みは独占的に享受したい、という江戸幕府の思惑が結実し、扇形をした1.5haの島となった。
唐人屋敷も同様。中国との人、物、文化の往来は、キリスト教の布教という点については心配がなかったため、鎖国が始まった当初、中国人たちは自由に街じゅうを闊歩していたが、密貿易の横行が発覚したことをきっかけに、元禄2年(1689)、幕府は塀と堀、さらには竹垣で囲んだ唐人屋敷を建設した。以来、約200年にわたり、出島、唐人屋敷は遊女とお坊さんを除いては容易に出入りすることができず、オランダ人から国立監獄とも揶揄される外国人隔離施設となった。もちろん幕府は長崎を直轄地にしており、外様大名の多い九州にありながら他藩とは周到に隔てられていた。


それでも長崎は海外への窓口。華やかな和華蘭文化が開花

おとな旅 長崎 ハウステンボス・五島列島

だが、鎖国以前には東南アジアを中心に盛んに船が行き来し、各地に日本人町ができるほど活発な交易が行われていた。船の出入りを長崎に限った朱印船、奉書船貿易の時代だ。街には眼鏡橋をはじめとする中国様式の石橋群や興福寺などの唐寺が建ち、カステラやパンといった欧州由来の食べ物が流入。長崎特有の文化の基盤となった。
さらに幕府が厳に国を閉ざした後も、生糸や砂糖、香木などとともに薬品や書籍等がこの街を通じて輸入されてきた。その結果、長崎には和華蘭文化と呼ばれる日本、中国、オランダの混じり合ったユニークなカルチャーが形成されることとなる。いまでも毎年秋に催される諏訪神社のお祭り、長崎くんちでは、龍踊りや阿蘭陀万才と、唐や南蛮の影響色濃い催し物が奉納され、土地に伝わる宴会料理、卓袱では東坡煮、ハトシ、天婦羅、パスティなど中国や欧州にルーツを持つ献立が組み込まれている。


復元された出島を観光。2017年には130年ぶりに島への橋も完成

■国指定史跡「出島和蘭商館跡」

おとな旅 長崎 ハウステンボス・五島列島

出島は、その名のとおり海上に造られた人工島。陸との間には1本の石橋が架けられ、約200年もの間、日本はこの小さな島を通じて欧州の文化や文明と繋がっていた。最盛期には蔵や住居、通詞部屋など49もの建物が建ち、商館長(カピタン)をはじめとする西洋人や傾城(けいせい)と呼ばれた遊女たちの歩く姿が描かれた古地図も残っている。現在、周辺が埋め立てられたため教科書などでも知られた扇の形は見られないが、長崎市による復元が進み、2017年末には出島表門橋も公開。カピタン部屋や水門、二番蔵と呼ばれる貿易館などの見学ができる。1820年代に描かれたとされる『長崎出島之図』を元につくられた15分の1サイズのミニ出島も置かれているので、往時をイメージしながら散策するのも楽しい。


おとな旅 長崎 ハウステンボス・五島列島

 電話番号 :095-821-7200(出島総合案内所)
 住所 :長崎市出島町6-1
 開業時間 :8:00~21:00(入場は~20:40)
 休業日 :無休
 料金 :520円
 アクセス :出島電停からすぐ
 駐車場 :なし
(『おとな旅プレミアム 長崎 ハウステンボス・五島列島 ’21-’22年版』 P.50)


円卓に並ぶご馳走は和・華・蘭折衷。格式にとらわれないのが流儀

■史跡料亭 花月

おとな旅 長崎 ハウステンボス・五島列島

円卓を囲み、大皿に盛られた長崎特有のコース料理、卓袱が味わえる料亭。吸物やお造りといった和食、東坡煮(とうばに)などの中華、パスタの語源になったと言われる南蛮料理のバスティ等、日本、中国、西洋と長崎の歴史をつくってきた国々にルーツを持つメニューが並ぶ。創業は寛永19年(1642)で、江戸の吉原、京都の島原と並び称される遊郭、長崎の丸山にあり、坂本龍馬ら幕末の志士をはじめ多くの歴史的人物がこの店に通った。800坪もの広大な庭園は元禄時代につくられたもので、きらびやかな格天井の下に椅子やテーブルを配した部屋や、3カ月に渡ってここに逗留した頼山陽に因んだ山陽の間、床柱に龍馬がつけた刀傷が残る竜の間など、往時そのままに残る空間や設えも素晴らしい。


おとな旅 長崎 ハウステンボス・五島列島

 電話番号 :095-822-0191
 住所 :長崎市出島町6-1
 営業時間 :12:00~15:00(LO14:00) 18:00~22:00(LO20:00)
 休業日 :不定休(主に火曜)
 アクセス :思案橋電停から徒歩5分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 長崎 ハウステンボス・五島列島 ’21-’22年版』 P.90)


明治初期築の建物自体が観光スポット。長崎を代表するカステラの店

■福砂屋 長崎本店

おとな旅 長崎 ハウステンボス・五島列島

名前の由来はスペインの地名カスティーリャであり、ポルトガルのパン・デ・ローが原型とされるカステラは長崎みやげに欠かせないお菓子。なかでも福砂屋は、寛永元年(1624)創業と日本が鎖国をする以前、長崎が朱印船の玄関口として賑わっていた時代から続く老舗で、いまでも創業以来の製法を守り、一人の職人が全工程を手作業でつくったカステラが味わえる名店だ。ザラメの食感も心地よく、やさしい風味と甘さが老若男女に愛される。


おとな旅 長崎 ハウステンボス・五島列島

 電話番号 :095-821-2938
 住所 :長崎市船大工町3-1
 営業時間 :9:00~18:00
 休業日 :無休
 アクセス :思案橋電停から徒歩3分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 長崎 ハウステンボス・五島列島 ’21-’22年版』 P.108)


*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。


画像素材: PIXTA 他


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