vol.75

霊場の多い四国にあって特に全国からの信心厚い金刀比羅宮を詣でる

本宮まで785段、
奥の院へは総計1368段。
長い階段の先には
多岐にわたるご利益の社が鎮座


こんぴらさんの名で愛される江戸期庶民憧れの金刀比羅宮総本宮

おとな旅 四国

現代のように旅が気軽なレジャーでなかった江戸時代。一生に一度、お伊勢さんかこんぴらさんにお参りがてら出かけたい、というのが多くの庶民の切なる願いだった。自分でお参りできない事情のある人は犬にその願いを託し、「金比羅参り」と記した札に住所を書き添え、路銀、初穂料を入れた袋とともに首に括り付けて送り出したという。伊勢神宮を目指す犬を「おかげ犬」、金刀比羅宮を詣でる犬を「こんぴら狗」と呼び、道中、これらの犬に出会った人々がそれぞれのお宮へと誘導したり、食事や寝床を提供したりと面倒をみてくれたらしく、主人のもとへ無事、お札を持ち帰ったという記録があちらこちらに残っている。なかには旅の途中で袋にお金を足し入れてくれる人まであり、出発時に持たせた額より多くのお金が入っていたケースもあったらしい。


医薬、商売繁盛など、いまこそ得たい金比羅宮のご利益

おとな旅 四国

讃岐の民謡にして、全国の御座敷遊びの定番曲としても知られる「こんぴらふねふね」。続く歌詞に「追手に帆かけてシュラシュシュシュ」とある通り、船神さまとして名高い金刀比羅宮だが、ご利益は海上安全のみに留まらない。豊漁や豊作に加え、商売繁盛、医薬まで、いま、多くの人々が必要としているご利益が得られる神様としてますます大勢の人に求められている。本宮、さらに奥の院までは1368段もの階段があるが、苦労して上ればご利益もひと際といった爽快な気分が得られ、また、本宮脇の展望台から一望できる讃岐平野から讃岐富士、瀬戸内海の眺めも見事。さらに、重要文化財の「十一面観音立像」などが展示された宝物館や、円山応挙の描いた襖絵が拝見でき、建物自体も重要文化財に指定されている表書院など、文化的にも見逃せない文物が多い。せっかく訪れるなら、歩きやすい靴や水などを用意し、半日ほど費やして文化財や景色を楽しみつつ1368段を上り切ってみたい。


お参りがてらの文化財鑑賞や食事も楽しい

■金刀比羅宮

おとな旅 四国

象の頭の形に似ていることから象頭山(ぞうずさん)とも呼ばれる琴平山に位置。金比羅神とはガンジス川に住むワニを神格化した水神クンピーラのことで、日本では龍の姿でイメージされている。もともとは悪神であったが改心の後、仏教を守る武将姿になられたもので、日本に伝わって以降、薬師如来を守護する十二神将の1柱になったという。さらに金刀比羅宮の主祭神、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)様は農業、殖産の神様でもある。そのため、金刀比羅宮のご利益は、海上安全、五穀豊穣、医薬と多岐にわたる。また、境内は季節によって桜や新緑、紅葉などが美しく、5月5日、7月7日、12月末の年3回、表書院で催される蹴鞠も華やか。休憩にと立ち寄るカフェ、レストランの質も高く、奥の院まで歩くモチベーションとなる。


 電話番号 :0877-75-2121
 住所 :香川県仲多度郡琴平町892-1
 営業時間 :境内6:00~18:00、博物館施設9:00~16:00
 休業日 :無休
 料金 :無料(博物館施設有料)
 アクセス :JR琴平駅から大門まで徒歩30分
 駐車場 :なし
(『おとな旅プレミアム四国 ’21-’22年版』 P.50)


金刀比羅宮境内で楽しむ銀座の味

■神椿

おとな旅 四国

石段500段目付近にある境内唯一のカフェとレストランで、これからの季節はオープンテラスのテーブルが心地いい。銀座資生堂パーラーの伝統そのままの洋食やスイーツのほか、地元、讃岐や瀬戸内海の食材を使った、ここでしか味わえないメニューも用意されている。特に好評を博すのが香川県産のフルーツや和三盆、醤油などを使った和風の神椿パフェ。香川や愛媛の一部地域では結婚式の引き出物に欠かせないカラフルなあられ、おいりがトッピングされており、ビジュアルもかわいい。


おとな旅 四国

 電話番号 :0877-73-0202
 営業時間 :9:00~17:00(LO16:30)、レストラン11:30~15:00(LO14:00) 17:00~21:00(夜は予約のみ)
 休業日 :無休(レストランは月曜)
(『おとな旅プレミアム四国’21-’22年版』 P.53)


参拝後は、地元の日本酒にくつろぐ

■金陵の郷

おとな旅 四国

琴平の旅をこんぴらさん詣でだけで終わらせるのはもったいない。周辺は江戸時代初期からの歴史を色濃く残すエリアであり、現存する最古の芝居小屋(現在は耐震補強工事のため閉館中)から平成になって発掘されたこんぴら温泉まで、見どころ、立ち寄るべき場所が多い。金陵の郷は元和2(1616)年にルーツを遡るという蔵元であり、こんぴらさんに供される御神酒をつくる酒蔵でもある。灘の名酒で知られる京都・兵庫、品種改良と温暖化によって北上しつつある米どころであり名水に恵まれた東北・北陸と並ぶ日本酒の名産地、四国で出会える老舗の酒造所だ。江戸時代の酒造道具や製法に関する資料をわかりやすく展示しており、試飲、販売も行っている。こんぴらさん参りに疲れた身体に上品な味わいの日本酒が染み渡る、是が非でも訪れたい見どころのひとつ。


おとな旅 四国

 電話番号 :0877-73-4133
 住所 :香川県仲多度郡琴平町623
 営業時間 :9:00~16:00(土・日曜、祝日は~17:00)
 休業日 :無休
 料金 :無料
 アクセス :琴電琴平駅から徒歩8分
 駐車場 :なし
(『おとな旅プレミアム四国 ’21-’22年版』 P.55)


*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。


画像素材: PIXTA 他


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