Vol. 52

7代藩主、松平治郷公から続く松江の和菓子の伝統と底力に瞠目

京、金沢と並ぶ和菓子の聖地
形にとらわれず
軽やかなスタイルで親しむ
出雲、松江の茶の湯


【おとな旅プレミアムスタッフより】
*新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現在外出自粛となっておりますが、本記事で少しでもみなさまに旅行気分を味わっていただけると嬉しいです。
*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。

日常的に質の高い和菓子を楽しむ松江の人々

おとな旅 出雲・松江 石見銀山・境港・鳥取

和菓子のおいしい土地、と問われて思い浮かぶ地域がいくつかある。筆頭に京都、ついで加賀百万石の伝統に育まれた金沢。戦国武将が数多出現した尾張名古屋にも老舗が多く、その菓子のうまさには凄みがある。東京は、大福や鯛焼き、団子といった庶民が日常的に口にする和菓子の質が、令和のいまも抜きん出てすばらしい。いずれも有力な武家、あるいは寺社のお膝元であり、茶の湯が盛んだった鎌倉から江戸期にかけての文化水準が高かった土地柄である。
出雲の松江も、例にもれない。というより、茶の湯に由来する和菓子文化の水準は全国でも屈指の高さといえる。総務省がまとめた和菓子購入金額は金沢に次いで2位、朝食がわりに和菓子とお薄を食す家庭も多いという。老舗の菓子店も多く、技術を競う大会で表彰される職人を毎年輩出している。


自由で軽やかな「不昧流」茶の湯文化

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松江が菓子どころとなった所以は、不昧公の号を持つ出雲国松江藩の7代藩主、松平治郷にある。江戸後期を代表する大名茶人であり、逼迫する藩の財政を立て直した中興の祖としても名高い。当時、茶道で重んじられていた華美な道具や形式を退け、禅にも通じる精神性を追求した「不昧流」を確立。せっかく持ち直した財政を再度傾ける気か、という批判が起こるほど大量に茶道具を収集したともいうが、おかげで、陶芸、漆器といった美術工芸や茶の湯文化が庶民にまで広がり、現代にまで続く菓子の質の高さが松江に育まれた。いまも、この土地の人々が肩肘を張らず、気軽に茶の湯に親しんでいるのは、偏に不昧公の存在あってこそ。堅苦しい作法に拘らず、おいしい茶と菓子、そして侘びの精神に親しむ土地柄となった。


3万本の紫陽花が咲く松平家の菩提寺

■月照寺(げっしょうじ)

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山陰の紫陽花寺として名高く、6月下旬から7月上旬にかけて咲く3万本もの紫陽花が美しい。境内には徳川家康公の孫にあたる初代・直政から9代・斉貴までの廟のある、藩主、松平家の菩提寺だ。使い終えた茶筅を供養する茶千塚や、不昧公も愛用したとされ、島根の名水百選ともなっている名水の水汲みばなど、茶道ゆかりの文物もある。茶室、大円庵ではこの名水を使った抹茶を味わうことができる(400円)。


おとな旅 出雲・松江 石見銀山・境港・鳥取

 電話番号 :0852-21-6056
 住所 :島根県松江市外中原町179
 開館時間 :9:00~17:00(12~3月下旬は9:30~16:30)、呈茶は9:30~16:30(12~3月は10:00~16:00)
 休業日 :無休
 料金 :拝観料500円
 アクセス :ぐるっと松江レイクラインバス・月照寺前下車すぐ
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 出雲・松江 石見銀山・境港・鳥取 ’19-‘20年版』P.104)


不昧公ゆかりの茶室を前に一服

■明々庵(めいめいあん)

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不昧公の好みを反映する茶室で、公自身、何度もここで茶席に臨まれた。幾度かの移築を経て、現在の有澤山荘、向月邸に隣接する萩の台に移された。入母屋に掲げられた「明々庵」の扁額は公の直筆。昭和44(1969)年には県指定の有形文化財にも指定されている。敷地内の百草亭では、明々庵を眺めながら、不昧公が好んだ菓子とお茶が楽しめる(410円)。


おとな旅 出雲・松江 石見銀山・境港・鳥取

 電話番号 :0852-21-9863
 住所 :島根県松江市北堀町278
 開館時間 :8:30~18:30(10~3月は~17:00)、呈茶は9:50~16:30(10~3月は~16:00)
 休業日 :無休
 アクセス :ぐるっと松江レイクラインバス・塩見縄手下車、徒歩5分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 出雲・松江 石見銀山・境港・鳥取 ’19-‘20年版』P.105)


不昧公が命名された3つの銘菓が揃う菓子舗

■三栄堂 本店(さんえいどう ほんてん)

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不昧公が命名し、好んだとされる3種類の菓子をはじめ、上質な材料を使った美しいお菓子が並ぶ。昭和には皇室に御料菓子を納めたこともある名店だ。おすすめは、もちろん不昧公命名の「菜種の里」「山川」「若草」。それぞれ、「寿々菜さく野辺の朝風そよ吹けは とひかう蝶の 袖そかすふそ」「散るは浮き 散らぬは沈む もみじ葉の 影は高雄の山川の水」「くもるぞよ 雨ふらぬうちに摘て置け 栂尾山の春の若草」と公が詠まれた和歌が残る。


おとな旅 出雲・松江 石見銀山・境港・鳥取

 電話番号 :0852-31-0122
 住所 :島根県松江市寺町47
 開館時間 :9:00~18:30
 休業日 :無休
 アクセス :JR松江駅から徒歩10分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 出雲・松江 石見銀山・境港・鳥取 ’19-‘20年度』P.109)


画像素材: PIXTA 他


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