Vol. 33

日本最大の湿原国立公園釧路湿原の濃密な夏世界

貴婦人のように優雅なタンチョウが舞う
太古の自然が残された北の大湿地帯。
壮大な湿原が生命あふれ、緑に包まれる
夏の釧路湿原を訪ねてみよう。

希少な動植物が暮らす日本一の大湿原

北海道東部にある釧路湿原は、日本最大の湿原として知られている。釧路市、釧路町、標茶町、鶴居村の1市2町1村にまたがり、湿原の面積は約2万ha。東京23区がすっぽりとおさまるほどの広さを持つ。どこまでも続く水平な大地に植物が繁茂し、釧路川などの河川が大きく蛇行を描く風景は、国内で類例を見ない壮大で美しい世界だ。
釧路湿原はまた、貴重な自然のゆりかごでもある。国の特別天然記念物のタンチョウや「氷河期の生き残り」といわれるキタサンショウウオなどの希少種をはじめ、約2000種以上の動植物が生息する。周囲の丘陵地を含めた地域が国立公園に指定され、重要な湿原を保存するための国際条約、ラムサール条約の日本第1号の登録湿地にも選ばれた。
(『おとな旅プレミアム知床・阿寒 釧路湿原'19-'20』P66)


釧路湿原は太古の時代は海だった

釧路湿原が形成されたのは、最終氷河期末期の約2万年前からといわれている。地球が温暖化に向かい、海面上昇が進んだおよそ1万年~6000年前には、現在の釧路湿原一帯に海水が侵入(縄文海進)。古釧路湾と呼ばれる入海が生まれた。その後、海水が後退し(海退)、砂嘴に開口部を塞がれた入海は汽水湖となる。湖底に徐々に土砂や泥炭が堆積し、ついに湿原が形成された。約3000年前には現在のような湿原になったと考えられている。シラルトロ湖など、湿原東部に点在する湖沼(海跡湖)は、かつて海だった時代の名残だ。
(『おとな旅プレミアム知床・阿寒 釧路湿原'19-'20』P78)
釧路湿原の面積の約8割を占めるのが、ヨシやスゲの草原が広がる低層湿原。この大草原が美しい緑の大絨毯となる7月中旬~9月頃に最も多くの観光客が訪れる。


夏の釧路湿原を自由自在に満喫

釧路湿原の主な楽しみ方は、展望台、遊歩道散策、鉄道の3つ。展望台は湿原の各所に設けられており、高所から湿原のパノラマ風景を気軽に楽しめる。なかでも人気の細岡展望台は、緑の低層湿原を蛇行する釧路川が流れる代表的風景が広がり、夕日スポットとしても知られる。各所で湿原の表情は異なるから、複数の展望台を巡るのもいい。
随所に整備された遊歩道を散策すれば、野鳥や湿生植物、花々などの自然を間近に感じられる。JR釧網本線は釧路川を沿うように走る湿原列車だ。春から秋には観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」を運行し、予約必須の人気を博している。釧路湿原の夏は、霧の最も多い時期でもある。緑の風景とはいかないが、幻想的な「霧の釧路湿原」も楽しむつもりで出かけたい。
(『おとな旅プレミアム知床・阿寒 釧路湿原'19-'20』P70)


画像素材:PIXTA


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