Vol. 25

節分が過ぎれば桜が開く南伊豆で日本一早い春を愛でる

椿、水仙、梅。河津桜に菜の花。
鮮やかな花々の色に溢れる南伊豆へ行く
冷え込みも、陽光も穏やかな
気候そのものを楽しむ晩冬・早春の旅

河津原産の早咲き品種、河津桜が見頃

立春を過ぎ、「暦の上では既に春」との文言がそこここで聞かれる時期となったが、まだまだ重たいコートやマフラーが手放せず、気のせいか風もいよいよ冷たく感じるこの季節。寒さにギュッと身体も強張るようで、どこかに春の気配はないかと考えを巡らせてみる。と、思い当たる場所がある。待ちわびる春がひと足早く感じられるエリア、静岡県の南伊豆だ。この辺りは年間を通じて比較的温暖な気候が特徴。とくに春の訪れが早いようで、この時期、最高気温は東京などとあまり変わらないものの、最低気温が高め。柔らかい空気にホッと全身の筋肉がほぐれる心地がする。
さらに1月下旬~3月上旬にかけて、下田や、隣接する河津のあたりは見頃を迎える花が多く、椿の赤、菜の花や水仙の黄、緑、白、梅や河津桜のピンクと、まさに爛漫の色彩に溢れている。なかでも、2月10日から3月10日まで催される河津桜まつりは、日本一早く開花する桜を目当てに全国から約200万人もの旅行者が訪れる人気のお祭りだ。河津川沿いにソメイヨシノより濃いピンクを湛えた河津桜が連なり、桜の名を冠した薄桃色のスイーツや富士宮やきそば、三島コロッケといった静岡のB級グルメ、さらにはサザエのつぼ焼き、サンマ寿司、イノシシの串焼き等、伊豆が育む山海の幸を扱う屋台が並んで大いに賑わう。昼は並木の足元に咲く菜の花の黄色と桜色のコントラストが春らしく、夜はライトアップが美しい。伊豆は有名な温泉どころでもあり、桜並木のあい間にはふらりと浸かれる足湯が点在。歩き疲れた足と身体がポカポカと癒されるのも河津の花見の大きな楽しみだ。
(『おとな旅プレミアム伊豆’19-’20』P28)

 

稲取で少し早めのひな祭り

桜まつりを楽しんだ日の夜は、隣接する稲取に宿をとるのもいい。河津からは車で10分、伊豆急に乗れば2駅5分と近く、この時期、「雛のつるし飾りまつり」が催されている。雛のつるし飾りとは、高価な雛人形が気軽に入手できるものではなかった江戸時代に始まったとされる雛飾りで、女児の健康な成長と幸せを願って作られる布製の人形。稲取が発祥とされており、厄除けの意味を込めた猿や長寿を願う桃など、縁起のよいモチーフが天井から鈴なりに下げられる。
また、稲取の海を見守る素戔嗚神社、118段もの石段にずらりと並べられたお雛様も大迫力。段数としては日本一の雛飾りで、敷き詰められた緋毛氈に圧倒的な数の人形が飾られている。


稲取のブランド魚、稲取キンメも今が美味

赤い魚体と大きな目が特徴の金目鯛も稲取の名産だ。1年じゅう水揚げされるが、海水の冷たい10~3月は特に脂がのってうまくなる。金目鯛は深海魚のため、港から遠く離れた沖合で捕るのが普通。大きな漁船で漁をし、数日かけて港に戻るのが一般的だ。だが、稲取沖は近場の海が深く、獲ったその日に帰港できるため鮮度の良さが桁違い。また、立縄釣りで獲る、夜間は操業しない、小さいものは海に放すなど、漁法と漁場の管理にも取り組みブランドにふさわしい品質を保っている。
キンメといえば刺身、煮物が真っ先に思い浮かぶが、稲取ではしゃぶしゃぶ、お茶漬け、なめろうなど、多彩な料理が楽しめる。また、土・日曜や祝日に訪れるなら、稲取漁港で開催される「港の朝市」もはずせない。地元の農産品や海産物をみやげに求めるついでに味わう、ホクホクと炊き上がったキンメの釜飯や味噌汁が絶品だ。港の澄んだ空気の中、湯気を立てる素朴で贅沢な飯を頬張る朝は、どんな一流ホテルでもかなわない特別な一食だと思う。
(『おとな旅プレミアム伊豆’19-’20』P94~)


画像素材:PIXTA


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