Vol. 24

まるで童話のような雪景色なつかしくも不思議な冬の白川郷

ぽってりと真綿のような雪を載せた家々の
一定方向を向いて並ぶ切妻屋根がフォトジェニック
雪深い土地柄に根ざした人々の営みがつくる
日本の美しい原風景

冬の暮らしに照準を合わせた家づくり

日本の家屋というものは、ほぼ、夏を快適に過ごすことを基準に建てられているといっていい。吉田兼好の徒然草にも「家の作りやうは、夏をむねとすべし」とある。「冬は、いかなる所にも住まる。暑き頃、悪き住居は堪え難きなり」とのことだが、これは京の都で大勢の人手を従えて優雅に暮らす法師さまのご意見。続く文章には、庭の池も深いものより浅い流れの方が涼しげだとか、とくに用のない場所をこだわって作りこむのがおしゃれだといったように貴族の屋敷を念頭に置いた住居論が書かれている。
だが、豪雪地帯の家づくりは冬の環境を無視しては不都合が多い。1995年、ユネスコの文化遺産に登録されて以来、国の内外を問わずツーリストの人気を集めている白川郷の家屋も、豪雪地帯ならではの仕様。屋根の傾斜を急にして雪おろしの作業を少しでも軽くする、家の正面が南北に向くよう並べて屋根に陽光があたる時間を長くするなど、雪と雨の多い土地ならではの工夫が随所に施されている。
(『おとな旅プレミアム飛騨高山・白川郷 飛騨古川・下呂温泉’19-’20』P108~)

 

童話の世界に誘う合掌造りの家

現代になり、あるいは海外の人々が訪れてフォトジェニックだと感じる風景はすべて、生活を営むに当たっての合理性の結晶。家屋が大きいのは大家族で暮らす伝統があったため、天井を組む際に釘を用いず縄で縛ることが、この土地特有の重たい雪に耐える柔軟性をもたらす、高い天井裏は数層に区切ると養蚕に便利、といった生活の知恵によるもので、合掌造りの家、ひいては郷そのものが、究極の用の美、とも言える。兼好法師と、その周囲の貴族たちが理想とする都のお屋敷とはまるで対照的な美しさだ。
1930年代、当時ヨーロッパに巻き起こっていたジャポニズムに惹かれて日本を訪れたドイツの建築家、ブルーノ・タウトも著書のなかで合掌造りに触れ、「合掌造りは建築学的に見てきわめて合理的かつロジカルである」と語り、白川郷については「日本的な風景ではなく、スイスのようでもある。(実際のスイスでもなく)スイスの幻想であるかもしれぬ。」と感想を述べている。現代の私たちと同様、どこか現実離れした童話の世界のようなイメージを持ったのかもしれない。


冷えた身体にほっこりと効く三名泉

 

さて、冬の白川郷を訪れたなら是非にでも立ち寄りたいのが下呂温泉。有馬、草津と並び称される下呂の湯は、トロッとした手触りも柔らかいアルカリ単純泉。寒い季節の観光で冷えた身体を芯から温め、上がった後もポカポカが続く。
下呂は飛騨川を中心に情緒溢れる温泉街が広がり、散策するのが楽しい街だ。街のそこここに、ふらりと入れる足湯があり、冷えた身体を温めつつ休憩できるのもうれしい。また、3月末までの毎土曜日には、飛騨川で花火のショーが楽しめる。2月にはバレンタインや合格祈願、3月にはお雛様やホワイトデーなど、行事に合わせたテーマを花火で表現するという。
(『おとな旅プレミアム飛騨高山・白川郷 飛騨古川・下呂温泉’19-’20』P94~)  


画像素材:PIXTA


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