Vol. 17

東京にアートの秋がやってきた色づく街路樹の下を歩き、散歩気分で美術館をめぐる

災害、とまで言われた酷暑もようやく終わりを告げ
肌に涼風が心地よい季節が訪れた。
都内に数多ある美術館でも新たな企画がスタート、
美術館を巡るには最適なシーズンが始まる。

上野の森で、寡作の画家フェルメールの作品を鑑賞

秋は各美術館で新たな企画が立ち上がる季節。「芸術の秋」を飾ろうと、各施設とも力の入ったテーマを打ち出してくる。
なかでも、2018年秋に注目したいのは上野の森美術館における「フェルメール展(2018年10月5日~2019年2月3日)」。光の魔術師の異名を持つヨハネス・フェルメールは、17世紀半ばにネーデルラントで活躍したバロック期を代表する作家。寡作の画家としても知られ、現存する作品数は35~37とされるが、今回はそのうち9点もの作品が1つの部屋に集結する。『牛乳を注ぐ女』『手紙を書く女』など、日常の一コマを切り取った暮らしの1シーンでありながら、鮮やかに生き生きと描かれた人物と、印象的な光と影の表現はバロック絵画の巨匠、フェルメールならでは。『赤い帽子の女』『ワイングラス』と日本初上陸の作品が見られるのも今回のフェルメール展の大きな楽しみのひとつだ。

   

バロック時代を生きた2人の画家

また、併せて国立西洋美術館の「ルーベンス展ーバロックの時代(2018年10月16日~2019年1月20日)」を訪ねるのもいい。ルーベンスとフェルメールは、ともにバロック絵画を代表する作家であり、ルーベンスはフランドル、フェルメールはデルフトと、ともに当時ヨーロッパでももっとも豊かであったネーデルランドに暮らし、16世紀末~17世紀に活躍。光と暗闇のコントラストが強く、ドラマティックかつ華やかなバロック絵画を描くなど、共通点が多い。一方で、もちろん相違点もあり、寡作のフェルメールに対してルーベンスは2000ともいわれる数多くの作品を残している。大きな工房を運営して各国要人から殺到する依頼に対応。フランダースの犬に登場する『聖母被昇天』をはじめとする祭壇画、宮廷画家として描いた肖像画、神話や歴史をモチーフにした歴史画など、さまざまなジャンルの絵を描いた。フェルメールより半世紀ほど早く生まれたルーベンス自身と、その作品、時代を知ることで、より深く、それぞれの作品が楽しめる。


紅葉もグルメも満喫できる、上野の森

 

上野の森美術館、国立西洋美術館のある上野恩賜公園一帯には美術館、博物館などの文化施設のほか、ボートで漕ぎ出せる池やパンダのいる動物園、歴史の面影を残す寛永寺や旧岩崎邸などがあり、繁華な都心の只中にあってオアシスのような癒しの空間が広がっている。春のお花見スポットとして有名だが、秋の紅葉も素晴らしく、イチョウやケヤキ、モミジなど、秋色に染まった上野のお山もまた、美しい。とくに見逃せないのは東京国立博物館の庭園。桜の春と紅葉の秋にのみ開放されており、秋色に染まった植栽を背景に、5代将軍、徳川綱吉が法隆寺に納めた五重塔、かつての天産部名残の珍しい樹木、歴史的にも美術的にも見事な茶室などが鑑賞できる。

 

また、上野恩賜公園内には質が高く個性的なカフェやレストランも揃う。天気の良い日にはテラス席を備えた「上野の森 Park Side Cafe」が、子供と一緒に訪れるならパンダをモチーフにした料理がかわいい「上野グリーンサロン」がおすすめ。なかでも、ぜひ訪れたいのが明治創業の「上野精養軒」だ。不忍池を見渡すテラス席が開放的で、ハヤシライスやオムライス、ビーフシチューなど、デミグラスソースを使ったメニューがおいしい。美しい自然のなか、極上のアートと文化、料理が揃った上野で、秋の散歩を楽しむ1日。心地よく贅沢な休日となるに違いない。

 

画像素材:PIXTA


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