vol.120

全域に湧く源泉は約350箱根20湯と呼ばれる多様な温泉にくつろぐ

食事が豪華な隠れ家ステイも
大きな書斎に泊まる贅沢も
別荘気分で長期滞在も自由自在
箱根には多彩な旅の拠点が揃う


美肌の芦ノ湯、眼には姥子と効能いろいろの箱根20湯

おとな旅 箱根

温泉郷としての箱根は意外なほど広い。日本全国にたくさんの温泉地があるが、そのほとんどは歩いてまわれるほどの規模であり、一軒宿の温泉も意外なほど多い。だが箱根は、例えば箱根湯本駅から箱根神社や仙石原のススキ草原に行こうとすれば車でスムーズに移動しても片道20~30分はゆうにかかる。
これには理由がある。箱根はひとつの温泉郷というよりは町、または山であり、全山に20もの温泉を有する。箱根17湯、または20湯といわれるもので、その名のとおり泉質の異なる20の温泉が湧出する。例えば、玄関口である湯本の湯は無色透明なアルカリ単純泉。芦ノ湯温泉は、湯口から出たばかりの時は透明感のあるグリーンだが、時間が経つと次第に白濁していく。また、強羅のように大涌谷からの乳白色の酸性硫酸塩泉と早雲山から引く単純硫黄泉の両方が楽しめる地区もある。無論、薬効もそれぞれ。色や香り、テクスチャーと併せて好みの湯を探してみるのもおもしろい。


個性際立つ施設から自分好みの1軒を探す

おとな旅 箱根

さらに箱根は、温泉浴施設の種類の豊富さも突出している。これは、エリアの広さに加えて保養地としての歴史の長さによるものかもしれない。開湯は奈良時代だというが、とくに戦国期以降、賑わいが絶えることなく、旅が一般的な娯楽として確率した江戸時代には逗留して贅沢に楽しむ大名や裕福な商人から東海道を行き交うついでに立ち寄る庶民まで、楽しみ方も懐具合も多様な旅人が訪れるようになる。幕末になると御用邸が造られ、外国人旅行者が訪れ、その顔触れはいっそうバラエティに富む。交通機関の発展、特に自家用車の普及とともに東京や横浜といった都心からの日帰り客も増加した。

その度に箱根にはそれぞれのニーズを満たす多彩な宿や温浴施設がつくられてきた。だから現在の箱根には、日本家屋が美しい老舗旅館から日本を代表するクラシックホテル、さまざまなお風呂が揃った温泉アミューズメントパークなど、実にバラエティ豊かな施設が揃っている。近年は旅行者の好みがより細分化されているようで、新たな魅力の宿が続々とオープンしている。自身の個性と滞在予定にピッタリと合致する1軒が見つかるに違いない。


絶品料理と厳選ワインをご自由に

■HAKONE NICA(ハコネ ニカ)

おとな旅 箱根

客室は全8室。絶景の中に建つ隠れ家のような宿で、すべての部屋に源泉かけ流しの半露天風呂を備えている。何より特筆すべきはラグジュアリーな食事とドリンク。近年増えつつあるオールインクルーシブ・タイプの宿で、朝食、夕食はもちろん、ルームサービスやアルコールを含めたドリンク類まで追加料金なしで楽しめるのだが、それぞれのクオリティの高さが素晴らしい。「記念日のためのアニバーサリーホテル」をテーマに掲げているだけあって、ビーフは相州牛、小田原や沼津、三島で採れる魚や野菜と、地元産の高品質な食材がフレンチと和をフュージョンさせた華やかな皿となって供される。もちろん、ドリンクも充実。常時10種類ほど用意されたワインや地酒を中心とする日本酒のほか、梅酒、焼酎、ウイスキーとそれぞれ数種類ずつ用意され、食事とお酒のペアリングも楽しめる。お酒が苦手な人にはもちろんソフトドリンクもあり、料理とお茶のペアリングも提案。さらに、記念の年のワインなど特別なお酒を持ち込みたい場合は種類や産地といった詳細を事前に伝えておけば、そのお酒とコース料理とのマリアージュも考慮してくれる。


おとな旅 箱根

 電話 :0460-85-0880
 住所 :箱根町宮城野1358-35
 チェックイン :15:00
 チェックアウト :12:00
 アクセス :宮城野営業所前バス停から車で5分(無料送迎あり)
 駐車場 :8台
 予算 :1泊2食付 平日6万円~、祝前日7万7000円~
 客室 :8室
(『おとな旅プレミアム 箱根』 P.23)


本好きにも、近ごろ本とはご無沙汰だなという人にも

■箱根本箱(はこねほんばこ)

おとな旅 箱根

「本のある暮らし」をテーマにした宿で、館内全体が書斎。パブリック・スペースにも各客室にも書棚が置かれており、ハンモックに揺られながら、バーでお酒を片手にと自由なスタイルで閲覧できる。なかでもおすすめなのが「あの人の本箱」と名付けられて館内のさまざまな場所に設置された棚。小説家や建築家、アーティスト、映画監督、女優、料理研究家など、本好きの著名人がセレクトした書籍が並んでおり興味深い。館内に並んだ1万2000冊はどれも購入できるので、好奇心やひらめきのアンテナを研ぎ澄ませて気の向くまま手に取ってみるのも楽しい。

いうまでもなく、衣食住+温泉という湯宿としてのファシリティは申し分ない。18の客室はすべて異なるインテリアで温泉露天風呂付き。食事は神奈川、静岡と地元で思いを込めて生産する農家や漁師から仕入れた食材を、名店で研鑽を積んだシェフが手がける自然派イタリアン。動きやすくてくつろげるオーガニックコットンの部屋着などのアメニティも、必要十分かつ考え抜かれたラインナップが揃う。もちろん、大浴場では強羅に引かれた2種類の温泉、塩化物泉と硫黄泉の両方が楽しめる。


おとな旅 箱根

 電話 :0460-83-8025
 住所 :箱根町強羅1320-491
 チェックイン :15:00
 チェックアウト :11:00
 アクセス :箱根登山鉄道・中強羅駅から徒歩4分
 駐車場 :17台
 予算 :1泊2食付1万9688円~(税別)
 客室 :18室
(『おとな旅プレミアム 箱根』 P.132)


共有スペース充実。客室や食事の選択肢も幅広い

■箱根ゆとわ(はこねゆとわ)

おとな旅 箱根

16㎡にベッド1台を備えた客室から、ミニキッチン付きのコンドミニアム、バス・トイレも含めて車椅子でも使用しやすいユニバーサル・デザインの部屋と多彩で、気ままな1人旅でも、カップルや仲間との旅行でも利用しやすい。朝はビュッフェ、夕食はアルコールとソフトドリンクを含めたハーフ・ビュッフェ・スタイルと、食事も自由度が高く、自家源泉の足湯や焚き火炉のあるウッドデッキや、お茶やコーヒー、ソフトドリンク、お酒などが無料で飲めるドリンクコーナーと自由に読める700冊の本を備えたライブラリーラウンジなど、フリースペースが充実しているのも魅力。コンドミニアムではキッチンで料理を作ったり、近くの飲食店から出前をとることもできる。

大浴場の湯は、美肌の湯として知られるニノ平温泉のナトリウム-塩化物泉。13:00~19:00(最終入館18:00)までなら予約不要での立ち寄り入浴も可能。用意された充実の施設、プランを利用して気ままな箱根旅が楽しめる。


おとな旅 箱根

 電話 :0460-82-0321
 住所 :箱根町強羅1300-27
 チェックイン :15:00
 チェックアウト :11:00
 アクセス :箱根登山鉄道・強羅駅から徒歩5分
 駐車場 :42台
 予算 :1泊2食付平日1万7150円~、祝前日2万2150円~
 客室 :72室
(『おとな旅プレミアム 箱根』 P.23)


*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。


画像素材: PIXTA 他


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