vol.116

日本でリンゴといえば弘前、津軽 甘酸っぱい北国のフルーツの香りに癒やされる

「1日1個のリンゴは医者いらず」
雪深く寒さ厳しい北国で
幾多の困難を乗り越え実った
真っ赤なリンゴで栄養補給


津軽富士、岩木山のふもとに広がるリンゴの一大産地

おとな旅 函館・津軽 弘前・青森・白神山地

青森県は日本のリンゴの約6割を生産し、その多くが弘前、岩木山の裾野に広がる津軽平野で栽培されている。何故、この地がリンゴの名産地になったかについてはさまざまな理由がある。もともとリンゴは夏の暑さに弱く、寒い土地に適した植物であったこと。また、当時、その寒さゆえ津軽は日本の主要作物である稲作にはあまり向いていなかったこと。さらには、岩木山の噴火によってもたらされた火山灰性の土は水捌けがよく、しかも多量のミネラルを含んでいること。昼夜の寒暖差が大きく、寒冷ながら四季のはっきりとした気候であり、冬の膨大な積雪が春、夏の作業に必要な水量を満たしたことなど、挙げればキリがない。だが、なんといってもこの土地に暮らす人々の気質によるところが大きい。


さまざまな困難に立ち向かう知識と気質

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日本で食糧としてのリンゴ栽培が行われるようになったのは明治時代。武士の世が終わり、旧藩士の失業対策のため各地で果物の苗が配布され、士族による果樹栽培が始まった。明治8年、青森県庁にも3本のリンゴの苗木が届く。知識階級である武士たちは、さまざまな資料を読み、また記録することが苦ではなく、さらには研究熱心。しかも、この地の人々は、方言でじょっぱりと表されるガンコな気質を持つ。


新しい作物であるリンゴを育てるにあたってぶつかるさまざまな困難にも立ち向かい、時に我慢し、時に大胆な手法を用いて、強情ともいえる姿勢で挑み続ける。丁寧かつ地道な努力の末、明治42年には青森県は全国一のリンゴ作付け面積を誇るまでになり、いまや国産リンゴの6割を栽培。国外でもその味と品質に対する評価は高く、フルーツのおいしい国との評価が高まる日本を代表する作物のひとつ。高級リンゴとしてアジアを中心に広く世界に輸出されるまでになっている。


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自社農園で育てたリンゴで作るお菓子やお酒

■タムラファーム

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宇和野地区と弥生地区に、計15ヘクタールにも及ぶ広大なリンゴの果樹園を持つ。木々の間隔を広くあけて採光性を良くしたり、自然で健康な土作りにこだわるなど、リンゴの品質を高める努力を惜しまない姿勢で取り組むため、毎年季節になると、このファームのリンゴを求めて多くの常連客が訪れる。


また直営の工場を持ち、リンゴのお菓子やジュース、コンフィチュールなどを製造。なかでも紅玉リンゴをたっぷりと使ったアップルパイは、シナモンを使っていないため、さわやかなリンゴの香りと甘酸っぱい味が満喫できると人気を博している。またタムラファームのリンゴのお酒、シードルは泡がやさしく繊細で、和洋、さまざまな料理に合うと好評だ。


おとな旅 函館・津軽 弘前・青森・白神山地

 電話 :0172-88-3836
 住所 :弘前市青樹町18-28
 営業時間 :8:30~17:00
 休業日 :日曜、祝日
 アクセス :JR弘前駅から車で20分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 函館・津軽 弘前・青森・白神山地』 P.129)


毎津軽のじょっぱりは今も健在。一徹な試行錯誤が生んだ奇跡のリンゴ

■パティスリー山崎(パティスリーやまざき)

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津軽のリンゴ農家に関するじょっぱりな逸話は、明治だけでなく昭和にもある。書籍や映画にもなった『奇跡のリンゴ』だ。リンゴという作物は繊細で害虫や菌、病気に弱く、通年さまざまな農薬を使う必要があるとされていた。だが、1970年代のこと。家業であるリンゴ栽培に使う農薬の害で体調を崩す妻のため、弘前のリンゴ農家、木村秋則氏が無農薬栽培にチャレンジする。しかし葉はすべて蛾の幼虫に食われて花も咲かず、当然、実がつかない。試行錯誤を繰り返すが10年の月日をかけてもうまくいかず、貧困、借金に苦しんだ。それでも木村氏は諦めない。そのじょっぱりぶりに友人や農家仲間も呆れ果て、氏は孤立。自殺まで考えるほどに苦しんだが、山に自生する木々の健康な姿にヒントを得て絶対不可能といわれた無農薬栽培に成功。スーパーなどの店頭に並ぶ一般的な国産リンゴより小ぶりながら味が素晴らしく、腐敗しにくい奇跡のリンゴが誕生した。
このパティスリー山崎は、レストラン山崎とカフェ山崎に隣接。お菓子と自然食品を取り扱っており、木村さんの奇跡のリンゴを使ったカリントウや冷製スープ、ハンバーグなどを販売している。


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 電話 :0172-34-7469
 住所 :弘前市親方町36
 営業時間 :10:00~21:00
 休業日 :月曜
 アクセス :JR弘前駅から弘南バス・土手町循環で10分、下土手町下車、徒歩5分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 函館・津軽 弘前・青森・白神山地』 P.128)


食事もお風呂もリンゴ尽くし。甘酸っぱい香り満ちた宿

■津軽のお宿 南田温泉 ホテルアップルランド(つがるのおやど みなみだおんせん ホテルアップルランド)

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津軽南田温泉にある旅館。敷地内にリンゴ園を持ち、花や実のなる季節は旅の思い出の撮影スポットとして大人気。また、大浴場の内湯にはたくさんのリンゴが浮かべられ、宿の名物となっている。もちろん食事にもリンゴがたっぷり使われている。朝食ビュッフェにはリンゴ冷製スープが並び、夕食の特別料理ではリンゴホタテグラタンが美味。地元青森の山海の幸をふんだんに用いた季節の和食膳がおいしいが、収穫シーズンには「趣りんご会席御膳」を用意。すべての料理にリンゴを使った献立で構成する特別な和会席だ。


おとな旅 函館・津軽 弘前・青森・白神山地

 電話 :0172-44-3711
 住所 :平川市町居南田166-3
 休業日 :不定休
 アクセス :JR弘前駅城東口から無料送迎バスで20分(要予約)
 駐車場:あり
 チェックイン:15:00
 チェックアウト:10:00
 客室数:72
 予算:1泊2食付き1万4450円~
(『おとな旅プレミアム 函館・津軽 弘前・青森・白神山地』 P.131)


*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。


画像素材: PIXTA 他


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