vol.110

うどん県、香川の謎と実力全国にその名を馳せる讃岐うどん

コシの強さと喉越しが身上
小麦、塩、醤油から薬味まで
良質な素材が近隣で揃う
地の利にも恵まれたうどんの聖地


シコシコとしたコシの強さが特徴の讃岐うどん

おとな旅 四国

稲庭や水沢をはじめ、日本には数々のおいしいご当地うどんがあるのに、うどん県と呼ばれるほど香川が全国に名を馳せている理由は何か。もちろん、県をあげてのプロモーションは大きい。だが2011年、県が「うどん県に改名しました」というコピーでPRを始める以前から、多くの日本人はうどんといえば太めでコシのある讃岐式のものを思い浮かべていたのではないだろうか。うどんは讃岐の国の豪族の家に生まれた弘法大師空海が唐から日本に伝えたという説がある。大師が持ち帰った中国の菓子がルーツであり、当地が日本におけるうどんの発祥地だというのだ。時代は下って明治になり、香川の善通寺に駐留した帝国陸軍第11師団の乃木希典師団長が兵士たちの栄養を考えてうどんに鶏肉と餅をのせることを考案。これを推奨したことから退役兵たちが駐屯中に口にしたうどんをそれぞれの郷里に広めたことも讃岐スタイルが全国区のスタンダードとなった一因だとの考察もある。


さらには、香川に金比羅さんがあることも大きい。出雲そば、伊勢うどんなど、江戸時代に参詣が盛んだったお宮のお膝元には古くから有名な麺料理がある。元禄~宝永の時代の作品、『金毘羅祭礼図』にも3軒のうどん店が描きこまれており、当時からうどんが参詣者の空腹を満たしていたことは確実。金刀比羅宮があり、大勢のお遍路が行き交うこの土地を詣でた旅人たちが讃岐で食したうどんのイメージを全国に持ち帰ったことは想像に難くない。一方、四国は雨が少なく稲作に適さなかったため、うどんの原料となる小麦栽培が盛んに行われたという実情もある。いずれにしろ、讃岐を訪れるなら、うどんを食さずに帰るのは難しい。逃すに惜しい香川第一の食の名物だ。


おとな旅 四国

讃岐うどんの定義とおいしさの秘密

おとな旅 四国

讃岐うどんには定義がある。香川県内製造であること、加水40%以上、加塩3%以上、熟成2時間以上、茹で時間15分以内と、数字で明確に決まっている。また、明文化されていない特徴も多い。最大の特徴は生地を踏む工程。昭和40年代、瀬戸内海を隔てた隣県、岡山から訪れた客が生地を踏む職人の姿に驚き、不衛生だと早とちりして保健所に駆け込んだというエピソードがあるが、確かに食べ物を足で踏むことに抵抗を感じる人は多いかもしれず、隣県人ですら驚く技法だったようだ。だが、この工程が讃岐うどん特有のコシを生む。無論、厚手のビニールを掛けて踏むなど、衛生面にも配慮している。さらに、2時間以上の熟成を経ることでツルッとした喉越しの良い生地となり、麺状にカットする際にできる断面の角は鋭い。面の部分がわずかにへこむことで出汁や調味料の絡みがよくなるのも、包丁を使って切り出す工程の効果だ。
また、出汁も特徴的。瀬戸内海でふんだんに揚がるカタクチイワシを使った、いわゆるイリコ出汁で、調味するための塩や醤油も、近くに伯方や小豆島と名産地が控えている。これに青ネギを添えれば、讃岐うどんの完成。かけ、ざる、釜揚げ、醤油、釜玉、ぶっかけ、しっぽくと、好みのスタイルで味わいたい。


国の有形登録文化財で食すうどん会席

■郷屋敷(ごうやしき)

おとな旅 四国

店として使われている建物は200年の歴史を持つお屋敷。主は豪農から与力まで勤めた家系で、豪奢な門構えや四季ごとに表情を変える庭園が往時の暮らしをいまに伝えている。江戸時代には主の人望により集まった大勢の客をもてなしたという立派な日本家屋には、数奇屋造りの書院、複数の蔵、離れとそれらを繋ぐ回廊や練塀などが残されており、江戸期の豪農、中級武士の邸宅の様子がうかがえる。
食事は、旬の食材を使ったお料理とうどん。手打ちのうどんは、提供日当日に打ったもので、讃岐うどん特有のコシがある。生醤油うどん、釜揚げうどんなどシンプルなメニューもあるが、こだわりの器に盛り付けられた季節の料理の最後にうどんを供するうどん会席や、豪華な具材のうどんすきも人気が高い。ゴージャスな気分で本物の香川の食とうどんを味わうのに最適な店だ。


おとな旅 四国

 電話 :0120-455-084
 住所 :香川県高松市牟礼町大町1987
 営業時間 :11:00~15:00 17:30~21:00 土・日曜、祝日11:00~21:00(LOは各30分前)
 休業日 :無休
 料金 :700円
 アクセス :ことでん・大町駅から徒歩20分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 四国』 P.48)


讃岐うどんブームの火付け役

■山越うどん(やまごえうどん)

おとな旅 四国

讃岐うどんといえば最初に思い浮かぶのが製麺所から派生したセルフサービス式のお店。一見、民家かと思うようなそっけない構えのお店に、食事どき、突如現れる大行列に驚く旅行者もかつては多かった。いまは全国的にもよく知られたスタイルで、旅行者も地元の人々と一緒に列に並び、自分でうどんを湯に通し、薬味や調味料、出汁などを自由にトッピングして味わっているが、そんな製麺所が営むうどん店ブームの火付け役となった店の1軒がここ。名物の釜玉うどんも、最初は客がタマゴを持ち込んでいたことから始まったメニューで、庭などに置かれた床几に座って食べるスタイルも製麺所スタートのうどん店特有。1玉300円~という安さも魅力で、創業から80年にもわたり人気を博し続けている。


おとな旅 四国

 電話 :087-878-0420
 住所 :香川県綾歌郡綾川町羽床上602-2
 営業時間 :9:00~13:30
 休業日 :水・日曜
 料金 :無料
 アクセス :ことでん・滝宮駅から車で10分
 駐車場 :あり
(『おとな旅プレミアム 四国』 P.49)


化学調味料や保存料は無添加。こだわりのうどん

■石川うどん(いしかわうどん)

おとな旅 四国

讃岐うどんとしては細めの麺、化学調味料無添加の出汁、注文してから揚げる天ぷらと、ていねいに調理されたうどんが味わえる。特に観音寺沖の伊吹島周辺で揚がったカタクチイワシを島内で加工した最高品質のイリコでとったお出汁は、味、香りともに抜群。喉越しの良い朝練り、茹でたての麺は小麦の香りも素晴らしく、出汁や薬味の生姜との相性も非の打ち所がない。だから、かけ、ぶっかけ、ざる、醤油、釜揚げとシンプルなメニューも無論極上だが、トッピングの天ぷらもまたおいしい。季節ごとに変わる旬の素材を、注文を受けてから揚げるため、どれもアツアツのサクサク。野菜や魚介も絶品だが、1年を通じてメニューに上がる観音寺産ちくわの天ぷらも、一見スルーしてしまいそうなありふれた品に思われるが、味わってみれば驚きのうまさ。次もまたオーダーしたいと思う絶品だ。


おとな旅 四国


 電話 :0877-21-7767
 住所 :香川県丸亀市福島町54-8
 営業時間 :11:00~14:00(土・日曜、祝日は~15:00)
 アクセス :JR丸亀駅から徒歩2分
 駐車場 :なし
(『おとな旅プレミアム 四国』 P.48)


*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。


画像素材: PIXTA 他


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