vol.104

先人たちが磨き続けた町家と市場憧れの京都で暮らすように時を過ごす

京都は普段着の姿と暮らしが素敵
古民家に滞在して市場で買い出し
お寺や神社巡りも楽しいけれど
旅ならではの非日常感溢れる都の日常


江戸、明治の暮らしを伝える京町家

日本の都市部は、第二次世界大戦でその多くが焦土となった。特に民家は、ほとんどが木造建築であり、例えば同じように激しい空爆を受けたヨーロッパの街のように黒焦げの状態ながら建物や石畳が焼け残るといったことも稀だった。が、京都は幸運な例外。戦況、戦力に余裕のあった連合国が、街に多く建つ古社名刹を惜しんだためとも、最後に核を落とす目論見だったため焼夷弾による大規模攻撃を控えたためとも伝わるが、いずれにしても街の大きさに比して空襲による被害は少なかった。結果、京都には歴史的価値の高い寺社とともにたくさんの町家が残されて、江戸期や戦前の暮らしをいまに伝えている。


おとな旅 京都

特徴的な設えに暮らしの工夫がいっぱい

他エリアのものと区別して京町家と称される京都の古民家だが、ひと口に京町家と言っても1軒1軒、建てられた時代の流行、建て主の職業や経済状態、趣味などによってさまざまある。広義としては1950年以前に市内に建てられた木造家屋を指し、間口が狭く奥に長い「ウナギの寝床」と呼ばれるような区画の家が多く、玄関を入るとまっすぐ奥の裏庭まで続く土間があるのも一般的。通路とキッチンを兼ねた空間で、陽光や外気を取り入れる役目も担う「通り庭」だ。通りに面した外観には、「出格子」と呼ばれる出窓状の格子窓、その下には「犬矢来」や「竹矢来」「駒寄せ」と呼ばれる防護柵が造りつけられている。瓦屋根の上に厄病避けの「鍾馗(しょうき)さん」が置かれた家もたくさんある。
建築当時、主の多くが商人や職人だったため、京町家は住まいであると同時に店や作業場としても機能していた。だから屋号や職種を記した京行燈や京看板が掲げられているものも目立つ。これらひとつひとつのパーツが京町家となり、また、1軒1軒の家々が層を成すように京都ならではの街並みと情緒を形作っている。


おとな旅 京都

築100年。呉服商が住まいとした町家に滞在

■旅館花屋(りょかんはなや)

おとな旅 京都

宿としては1949年に創業。祇園祭りの折には、建物の前に木賊山(とくさやま)が置かれて、いっそう京都らしい佇まいとなる。2階建ての宿は各フロアに1組ずつ、最大でも1泊に付き計2組の予約しか受けない。建物は建築当時のままの様子が堪能できるよう繊細に手入れされ、長い廊下、坪庭、格子の入った窓など、はんなりとした京町家特有の風情に満ちている。
食事は朝食のみが付く「片泊まり」が基本。街に、ぜひとも夕食を楽しみたい数多の名料亭や食事処がひしめく京都だが、せっかく風情ある京町家に泊まるなら、京都でとくに発達したもてなしのシステム、仕出しを頼むのもいい。旅館花屋では前々日までにお願いしておけば明治40年創業の 「御料理 井傳」の仕出しを準備してくれる。京町家で過ごす夏の夕、坪庭を眺めながら、ゆったりと食事を楽しむのも素敵。自家製の味噌や塩麹、契約農家から届く無農薬・減農薬野菜等を使った宿手製の朝食もシンプルでしっかりとおいしい。


おとな旅 京都

 電話 :075-351-0870
 住所 :京都市下京区仏光寺通西洞院西入ル木賊山町180-1
 チェックイン :16:00
 チェックアウト :11:00
 アクセス :地下鉄烏丸線・四条駅から徒歩10分
 駐車場 :なし
 予算 :1泊朝食付8000円~1万1000円
 客室数 :5室(現在予約は2室まで)
(『おとな旅プレミアム 京都』’21-’22年版 P.182)


リノベーションし、新たな魅力を放つ町家カフェ

■pongee’s Table(ポンジーズテーブル)

おとな旅 京都

古民家をリノベーションし、町家の雰囲気そのままに座敷なども備えており、くつろぎとモダンさを兼ね備えたカフェ。ランチタイムのロコモコや、パスタ、ケーキ、夏季限定で供するかき氷など、何を食べてもおいしいが、とくにおすすめのメニューはプレミアムバターのパンケーキだ。ライ麦を配合した生地は香り高く、海塩のジャリッとした歯ざわりと塩味が効いたバターがシロップの甘さにバランスのよいアクセントを加えて絶妙なおいしさ。地元に暮らす人々が愛用する町家カフェでくつろげば、より京都が身近に感じられる。


おとな旅 京都

 電話 :075-200-1122
 住所 :京都市上京区千本通五辻上ル牡丹鉾町567-1
 営業時間 :11:00~21:00(LO20:00)
 休業日 :水曜・不定休
 アクセス :市バス・千本上立売下車すぐ
 駐車場 :なし
(『おとな旅プレミアム 京都』’21-’22年版 P.143)


古くから都人御用達。京の台所でお買い物

■錦市場(にしきいちば)

おとな旅 京都

小売商が連なる市場としての歴史は平安時代に遡るという。良質な地下水でも知られる京都だが、錦市場の辺りはことに水が豊かなため井戸を冷蔵庫代わりに使う魚屋が集まったのがはじまりで、御所に品物を納める店もあったらしい。正式には、元和元年(1615)に江戸幕府公認となり、少しずつ姿を変えながら今に続いている。
現在では、魚はもちろん、京野菜を扱う青物店、牛肉に力を入れる精肉店のほか、京漬物やお麩、湯葉、豆腐など、街の名物を扱う店が軒を連ねている。また、京都らしいお惣菜や珍味などもあり、その場で食べられる商品や、おみやげにしたい魅力的な食品も数多く並ぶ。花鳥画で知られる江戸期の画家、伊藤若冲は錦市場にあった青物問屋、桝屋に生まれた長男で、桝屋を継いだ後、錦市場の発展にも尽くしたという。市場の入口や、店のシャッターに描かれた若冲の絵も見どころ。


 電話 :0467-25-0810
 住所 :京都市小町2-11-19
 営業時間 :9:00~19:00
 休業日 :水曜(不定期)
 アクセス :JR京都駅から徒歩5分
 駐車場 :なし
(『おとな旅プレミアム 京都』 P.150)


*施設や店舗の営業などは事前にご確認ください。


画像素材: PIXTA 他


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